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国家安全保障会議で欧州・ロシア担当上級顧問を務めたフィオナ・ヒル氏は、米ニュースサイト、ポリティコのインタビューで、プーチン大統領はイーロン・マスク氏をメッセンジャーとして利用しているとの見方を示した。

マスク氏は今月3日、ツイッターに独自の和平プランを投稿。ロシアが編入を宣言したウクライナ東・南部4州について、国連の監督下で住民投票を再び実施することや、クリミアをロシアの一部と認め、半島への水の供給を確保することなどを提案した。マスク氏の投稿は広い反発にあい、ウクライナの駐ドイツ大使アンドリー・メルニク氏は「消えちまえ、ていうのが私の君への外交的回答だ」と怒りのリプライを送った。

ヒル氏はインタビューで、マスク氏は、プーチン氏が編入を宣言する以前に、ツイートと同じ内容をコロラドで開催されたカンファレンスで話していたと指摘。さらにクリミアの水の供給の問題について、マスク氏自身が知っていた可能性は低いと述べ、「非常に具体的で、明らかにプーチンからのメッセージだ」と主張した。

クリミアは乾燥地帯で、今回の編入地域に含まれるヘルソンとザポリージャが給水のすべてをコントロールしているという。

メッセージの反応を確かめるために著名人を仲介者として利用するのは、プーチン氏の「古典的プレイ」だと指摘し、自身も仲介者を送られた経験があると明かした。

ヒル氏によると、マスク氏はテスラとスペースX、スターリンクを通じてロシア国内でよく知られており、ロシアの世論調査で最も人気の高い男性の一人だという。「プーチンは、大物のエゴを利用して、彼らが役割を果たすことができると思い込ませている。しかし、現実的には、彼らはウラジーミル・プーチンのメッセージを直接送信しているに過ぎない」と語った。

米シンクタンク、ユーラシアグループのイアン・ブレマー氏は先週、マスク氏が以前、プーチン氏とウクライナについて話したことがあると告げたとツイートした。これに対してマスク氏は「誰もブレマーを信じるべきじゃない」と反論しつつも、別のツイートでは、プーチン氏と18ヶ月前に一度だけ、宇宙について話したことがあると明かした。

ちなみにテスラは、2020年後半以降、2019年に制裁が解除されたロシアのアルミ製造大手「ルサール」からアルミニウムを購入している。CNBCは今年3月中旬、内部資料をもとに、購入額は数百万ユーロに上ると報じている。

ロイター通信によると、ルサールは、中国を除けば世界最大のアルミ製造企業で、今年は7,000万トンと推定される世界の需要の6%を供給している。バイデン政権では現在、ロシア産アルミについて、実質的な禁輸措置に近いレベルまで関税を引き上げるほか、ルサールを制裁対象にする可能性について検討していると報じられている。