トランプ支持は方便?元FOX司会がマードック家の“出馬要請”を暴露

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FOX NEWS
©MashupReporter

FOXニュースの元人気司会者タッカー・カールソン氏は、6月24日配信のポッドキャスト番組で、昨年の大統領選において、マードック家からトランプ氏の対抗馬として出馬を打診されたことを明かした。

カールソン氏はゲストのクレイトン・モリス氏に対し、「マードックは本当にトランプを嫌っている。マードック以上にトランプを嫌っている人はいないと言ってもいい」と切り出し、「私が解雇されたのは2023年4月だったが、その翌月の2023年5月に、彼らは私にトランプに対抗して大統領選に出馬しないかと打診してきた。もちろん私は公職選に出るつもりはない。ご存じの通り、私が当選するはずもないし、私はトランプが好きだから」と告白した。

なお、カールソン氏の解雇をめぐっては、ドミニオン社との訴訟や元番組プロデューサーの女性による告発など、社内外の事情が絡んでいる可能性が報じられていた。

「トランプに対抗して大統領選に出馬するよう、マードック家があなたに頼んできたのか?」と驚きを隠せないモリス氏に対し、カールソン氏は「そうそう。ラクラン・マードック(ルパート・マードックの息子)が『君は大統領選に出馬すべきだ。我々が全面的に君を支持する』と言ったんだ」と答えた。

カールソン氏によると、FOXニュースの幹部や出演者は、トランプ嫌いが大半を占める。これにはマードック家や、国家安全保障担当チーフ特派員のジェニファー・グリフィン氏が含まれる。MAGAのタカ派として最近頭角を現しているアンカーのマーク・レビン氏や、イラク強硬論を支持する常連ゲストのリンジー・グラハム上院議員、テッド・クルーズ上院議員も、かつてはアンチ・トランプだった。

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それにもかかわらず、FOXニュースはトランプ氏のお気に入りチャンネルであり続け、ニューヨーク・タイムズによると、イランの核施設爆撃の決断に同局の報道が影響した可能性さえあるという。

現在、イスラエル・イラン紛争への介入をめぐり、トランプ支持者の間で対立が浮き彫りになっている。カールソン氏やマージョリー・テイラー・グリーン議員、スティーブ・バノン氏といった非介入を主張するMAGAの古参と、主戦論者のレビン氏や一部FOXニュースのホストが舌戦を繰り広げている。

カールソン氏がこれまで沈黙を守っていた理由は不明だが、今回の暴露は、FOXニュースのトランプ支持の姿勢が、局のアジェンダを進めるための便宜的な手段に過ぎない可能性を示唆している。

ちなみに、カールソン氏によれば、司会者の発言は国内問題であればある程度許容されるが、外交に関しては発言の裁量が許されないという。2009年から2012年までFOXビジネスで番組司会を務めたアンドリュー・ナポリターノ氏は、番組内で外国への軍事介入に疑問を呈したところ、即座に降板させられたという。