1日、ミッドタウンのペンシルベニア駅に新たな駅舎「モイニハン・トレイン・ホール」(The Moynihan Train Hall)がオープンした。新駅舎の場所は、郵便局のあるジェームス・A・ファーレービル(James A. Farley)内。築100年以上のボザール様式の建物が、ペン駅の拡張工事の一環として、新たな交通の要衝として生まれ変わった。

モイニハン・トレイン・ホール ニューヨーク
ペンステーションの西側、ジェームス・ファーレービルを改装(mashupNY)

ニューヨーク州のクオモ知事は2016年、1913年建築のジェームス・ファーレービルを新たな交通ハブへと変えるプロジェクトを発表。駅舎は当初の予算かつ期日通りに、12月31日に完成した。

建設費用は約16億ドルで、エンパイアステート・デベロップメントやボルネード・リアルティトラスト、アムトラック、MTA、ニューヨーク州およびニュージャージー港湾公社などの官民パートナーシップにより実現した。

建物の名前は、ニューヨーク出身の故ダニエル・パトリック・モイニハン(Daniel Patrick Moynihan)上院議員にちなんで名付けられた。同氏は、郵便局をペン駅の一部として活用することを初めに提案した。

ニューヨークタイムズによると、現在のペン駅の利用客は65万人で北米で最も多い。当初予定していた3倍だという。新駅舎の建設にあたり、地下鉄の利用者は除外されたと、非難する声も上がっている。

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元のペン駅は、建築遺産の保護を訴える人々の強い反対に合いつつも、1964年に解体された。解体は、歴史的建造物保存委員会が創設されるきっかけとなり、グランド・セントラル駅の保存にも繋がった。

クオモ氏は28日、「この巨大事業の完成は、われわれの歴史における最も暗い時代から抜け出す希望のショットだ。100年に一度のヘルス・クライシスに苦しみながらも、われわれが大きな夢を抱き、未来に向けたビルを構築するのを、パンデミックは妨げることができないという明快なメッセージを世界に発信することができる。新たなモイニハン・トレイン・ホールは、”ニューヨークは不屈だ”(New York Tough)を具現化したものだ」と語った。

新駅舎の特徴は?

モイニハン・トレイン・ホール ケヒンデ・ワイリー(Kehinde Wiley)
mashupNY

建物の床面積は2万3700平方メートル。既存のペン駅のコンコースを50%拡張した。地上階にはアムトラックやロングアイランド鉄道(LIRR)の発券場所や待合スペースが設けられ、地下は17本のプラットフォームに接続している。天井の高さは約28メートルで、ガラス窓からは自然光が降り注ぐ開放的なデザイン。

モイニハン・トレイン・ホール
WIFIが完備された待合スペース(mashupNY)
モイニハン・トレイン・ホール
アムトラック鉄道の待合スペース(mashupNY)
モイニハン・トレイン・ホール

入り口の天井部分には、オバマ前大統領の肖像画で知られるケヒンデ・ワイリー(Kehinde Wiley)や、デュオのエルムグリーン&ドラッグセット(Elmsgreen & Dragset)、カナダ出身のスタン・ダグラス(Stan Douglas)らのアート作品が設置された。

モイニハン・トレイン・ホール ニューヨーク
31ストリートの入り口に設置されたエルムグリーン&ドラッグセットの「The Hive」(mashupNY)
モイニハン・トレイン・ホール
ケヒンデ・ワイリーの「think about ways bodies twirl in break dancing」33ストリートの入り口に設置(mashupNY)
モイニハン・トレイン・ホール ニューヨーク
33ストリートの入り口からは、エンパイアステートビルディングが見える(mashupNY)

今後フードホールが開業し、マグノリアベーカリーやH&Hベーグル、ジェイコブス・ピクルス、ママン、デビーズ・アイスクリームなど地元の飲食店がオープン予定。

ビルの2階から5階はオフィススペースで、フェイスブックが8月に賃貸契約を締結したと発表している。ペン駅の近辺は、アップルやアマゾン、グーグルなどのオフィススペースがある。