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「ソーホーカレン」カリフォルニア州で拘束。NYホテルで黒人少年に攻撃

カリフォルニア州ベンチュラ郡の保安官は7日午後、ミヤ・ポンセット(Miya Ponsetto)容疑者(22)をピル(Piru)にある自宅付近で拘束した。ニューヨークタイムズが報じた

ニューヨーク市警察は、ポンセット氏の逮捕令状を発行し、聴取をするためカリフォルニア州を訪れていると報じられていた。容疑は明らかにされていない。

AP通信によると、ポンセット氏は拘束される際、保安官の車のドアを勢い良く閉じようとするなど、激しく抵抗したという。現在ベンチュラ郡の拘置所に留置されており、逃亡の恐れがあるため、保釈は認められていない。

携帯を盗んだと誤って非難

事件は先月26日、ソーホーのブティックホテル「Arlo」のロビーで起きた。ポンセット氏は、その場に居合わせた14歳の黒人少年キーヨン・ハロルド・ジュニアさんが携帯を盗んだと誤って非難。携帯を奪い返そうとして、少年を攻撃した。

少年の父親でグラミー賞受賞歴のあるジャズ・トランペッター、キーヨン・ハロルド(Keyon Harrold)氏はその時のやり取りを撮影しており、動画をSNSに投稿した。
映像には、ポンセット氏がホテルの支配人に少年が携帯を盗んだと主張するほか、ポケットの中を見せるよう少年に詰め寄る様子が撮影されている。後に、携帯はウーバーに忘れていたことが判明。ポンセット氏はホテルで電話を受け取った。女性は盗難を通報したが、警察官が駆けつけた際はすでにホテルにいなかったという。

NYPDは30日、ホテルの防犯カメラの映像を公開した。女性がホテルを出ようとする少年を追いかけ、つかんで倒す様子など撮影されていた。

ニューヨーク市警察(NYPD)のロドニー・ハリソン巡査長は29日、当初女性をハラスメントで逮捕する予定だったとしつつ、暴行罪で起訴するか、さらには重窃盗や強盗未遂として検討する可能性があると発表した。ポンセットを指名手配し、情報の提供を呼びかけていた。偏見に基づく犯罪として起訴する計画はないと語っている。

人種差別と非難

父親のハロルド氏は事件直後、タイムズのインタビューで人種偏見に基づく行為だと語った。ホテルの支配人も「息子がなぜ携帯を持っていると思ったのか、疑おうともしなかった」と述べており、ホテル側の対応も非難している。

30日には、少年の母親のカッツ・ロドリゲス(Kat Rodriguez)さんや黒人の人権活動家アル・シャープトン氏、市民活動家の弁護士ベン・クランプ氏らと共に、市庁舎前で抗議集会を行っている

デブラシオ市長も28日のツイートで「人種差別だ。単純、明快だ」と断言。「彼女の振る舞いは、市の価値観を侮辱するもの」と非難した。31日の会見では、このような行いをした者は報いを受けなければならないとし、刑事司法による対応が必要だと語った。

ホテルArloは声明で「無実の宿泊客への暴行や偏見、根拠のない通報に対して、非常に残念に思っている」と発表。今回の出来事は「許されない」と、ハロルド氏と息子に謝罪した。

このことから、ポンセット氏はSNSでも「ソーホー・カレン」として非難の声が広がった。

人権弁護士のベン・クランプ氏は2日、女性への法的措置を求め、オンラインに嘆願書を投稿。嘆願書では「ハロルド・キーヨン・ジュニア氏は、他の世代へとのしかかる人種差別の重み、心のトラウマを一生引きずって生きていくだろう。彼はより良い扱いを受ける資格がある」と署名を求めた。現在、10万人以上の署名が集まっている。

ポンセット氏の代理人Sharen H. Ghatan氏は、タイムズに対し、彼女はハロルド親子に直接謝罪したいと考えていると語っている。
一方で「彼女は人種差別的な発言は行っていない」と人種偏見に基づく行為の可能性を否定した。ポンセット氏はプエルトリコ人とベトナム系の家系で「青い目や金髪の特権ある白人女性ではない。携帯を取り戻したかっただけだ」と説明した。

事件当日、ポンセット氏はニューヨークに住む父親を訪れていた。なぜホテルにいたのかは不明だとしている。

拘束前にテレビ出演

ポンセット氏は拘束される日の朝、CBSの番組「This Morning」に出演した。
ホテルでの騒動について、「自分はとっても優しい人間で、親子を傷つける意図はなかった」と主張。司会者に向かって「あなただったら、どう思う?休暇で家族と過ごし、ニューヨークに一人でいて、帰宅するための唯一の手段、全てにアクセスできるものを盗まれて失ったとしたら」と自身のふるまいを擁護。自分は「22歳の若い少女」だと強調した。また、ジュニアさんとみ合いになった際、父親が「私を地面にたたきつけ、髪を引っ張った」と述べるなど、自身も暴行を受けたと主張した。

ポンセット氏は「私はこのような人間ではなく、1回の過ちで自分の人格を定義づけるものではないと思っている」と述べつつ、「息子さんが私が攻撃をしたかのように思わせたなら、また親子の気持ちを傷つけたならば、心の底から真に謝罪する」と語った。

インタビューの終盤では、ポンセットさんが司会を遮るような仕草をして「もう十分。結局ホテルに携帯はあった。最終的には私の元に戻った」と反発する場面もあった。

ハロルド親子は声明で、インタビューは「謝罪ではない」述べ、ポンセット氏は「肌の色によって、14歳の黒人の子供を標的にした」と非難している。

元ニューヨーク市警察官で、ジョン・ジェイ大学のJoseph L. Giacalone非常勤教授によると、警察官が殺人やコールドケースの捜査以外で、州外に出向くのは極めて異例だという。一般市民からのプレッシャーが「巨大」であり、「メディアだけでなく、ソーシャルメディアによって動かされている出来事だ」とタイムズに語っている。

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