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白人女性ギャビー・プティトーさん失踪事件が注目を集めたワケ

婚約者とバンでアメリカ大陸横断旅行に出かけた白人女性、ガブリエル・”ギャビー”・プティトー(Gabrielle ‘Gabby’ Petito)さん(22)が失踪した事件で、連邦捜査当局は19日、ワイオミング州の国立公園で発見された本人の特徴と一致する遺体を発見したと発表した。
21日には、遺体はプティトーさんのものと断定。死因は特定されていないが、殺人事件として捜査すると発表した。

一方、婚約者の男性ブライアン・ランドリー(Brian Laundrie)さんは1日、1人でフロリダ州の自宅に帰宅したが、14日から行方不明となり、捜査当局が行方を追っている。

車でアメリカ大陸を横断し、SNSに「バンライフ」を投稿していたランドリーさんとプティトーさん(左)。FBIは殺人事件と発表した。(C)North Port Police Department

ネット探偵が熱狂

バンで旅行中のインスタグラマーに起きたミステリアスな事件に、メディアの報道は過熱。ネットユーザーの間でも話題が持ちきりとなった。

特にプティトーさんと同年代のユーザーが多いTikTokでは、#gabbypetitoや#findgabbypetitoといったハッシュタグがついた動画が多数投稿され、合計で数億回以上再生されている。Redditやfacebook、Instagramなどでは、無数のネット探偵が、手掛かりめいたものや自説を大量に投稿した。

この中には、ヒッチハイクでランドリーさんを車に乗せたという情報や、2人が使用していた白いバンが国立公園で置き去りされていたという目撃証言など、捜査の有力な手掛かりと思われるような情報も寄せられている。

ユーチューバーのJenn Bethuneさんはブリッジャーティトン国立森林公園で撮影した動画の中で白いバンをを発見し、YouTubeに投稿。FBIは遺体の発見直前、その動画を確認したと伝えられている。

ジョン・ジェイ・カレッジ・オブ・クリミナル・ジャスティスのマイケル・アルカザール教授はワシントンポスト紙に対し、多くの警察では捜査官が不足しているため、ネットに存在する「何百万人の民間捜査官」は、「アンバーアラートのようなものだが、より効果的」と指摘している。

行方不明白人女性シンドローム

プティトーさんの失踪事件が大きな注目を浴びた一つの理由として、「人種」を指摘する声が上がっている。

MSNBCの司会者ジョイ・リード(Joy Reid)氏は20日放送の番組で、「どの家族もこのような苦痛を味わうべきではない」述べつつ、有色人種が行方不明になった場合、これほどメディアの注目が集まるだろうかと疑問を投げかけた。

また過去に注目されたラシ・ピーターソンさんやナタリー・ホロウェイさんなどの白人女性の失踪事件を例に挙げ、PBSの元アンカー、故グウェン・アイフィル(Gwen Iffil)氏が過去に言及した「行方不明白人女性シンドローム」(Missing White Woman Syndrome)だと主張。この一方で、有色人種に関する事件報道は、無視されていると語った。

またメディアが注目しないのは、報道機関に携わる白人の中年男性にとって「被害者が自分の娘や孫に似ていないからだろう」と身近な問題として捉えていないと考えを語った。

なおインサイダーによると、2011年から2020年の間、プティトーさんの遺体が発見されたワイオミング州では、710人の先住民の失踪が報告されているという。行方不明者の大半は子供(85%)かつ女性(57%)だが、これらの事件が報じられるのは、白人に比べて少ないという。

過去の研究からも、白人女性に関する事件は、男性や有色人種に比べて注目を浴びやすいことが分かっている。

NPRによるとノースウェスタン大学の社会学者ザック・サマーズ(Zach Sommers)氏が、複数のメディアの事件報道を調査したところ、白人女性の事件は、その他の人種の女性や男性に比べて、報道の対象となる可能性がはるかに高いことが分かった。一方、白人男性の事件は、最も露出が少ないということも判明した。

犯罪学者のスコット・ボン氏は、今回の現象について、これが「われわれの社会であり、カルチャー」だとし、「白人や若さ、肉体美への期待に重きを置いている」とワシントンポスト紙に語っている。

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