マイケル・ウォルフ(Michael Wolff)氏による、トランプ政権誕生後のホワイトハウスを描いたノンフィクション、「Fire and Fury」(炎と怒り)の、テレビシリーズ化が決定した。
Exclusive: Michael Wolff’s ‘Fire and Fury’ to Become TV Series https://t.co/JIJMqdYjW1 pic.twitter.com/YZa2d7Z7Dl
— Hollywood Reporter (@THR) 2018年1月17日
ハリウッドレポーターによると、 ウィリアム・モリス・エンデヴァー(William Morris Endeavor,WME)とIMGが共同で設立されたエンデバーコンンツ(Endeavor Content)が、映画化とテレビ化権を獲得した。獲得金は、同社としては史上最高の7桁(数億円)にのぼるという。
エンデバーコンテンツは、本をテレビシリーズとして脚本化する予定。放映するネットワークはまだ決定していない。
著者のウォルフ氏は、チャンネル4とBBCのエグゼクティブで、Two Cities TelevisionのCEOを務めるマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)氏と共に、同シリーズのエグゼクティブプロデューサーを務める。
「炎と怒り」とは
ノンフィクション「炎と怒り」は、ウォルフ氏の独自取材を元に、トランプ大統領率いるホワイトハウスの内膜を描いた暴露本。就任後1年間のドタバタ劇が、ホワイトハウスに出入するスタッフや、元大統領上級顧問スティーブ・バノン氏などへのインタビューを元に綴られている。
昨年11月の出版発表時は、あまり注目を集めなかったが、発売前に英ガーディアン(The Guardian)が執筆したリーク記事「トランプタワーのロシアとのミーティングは売国行為だ。」や、ウォルフ氏が寄稿したニューヨークマガジン、ハリウッドレポーターのコラム掲載などのマーケティングが功を奏し、大きな反響を巻き起こした。
トランプ氏も、本とバノン氏をツイッターで攻撃。弁護士を通じて、出版社のヘンリーホルト社(Henry Holt)とウォルフ氏に出版差しどめの要請を行った。しかし、出版社は発売日を1月15日から9日に繰り上げる対抗措置を表明。結果として、さらに世間の耳目を集めることとなった。
出版後、バノン氏は、本で記載された内容に関して、トランプ氏と一家に対して謝罪。自身が立ち上げたオンラインメディア、ブライトバート(Breitbart)の会長職を退くこととなった。
史上空前の大ベストセラー
発売前の反響の大きさから、発売した書店の本はわずか数10分で完売。
Midnight line for FIRE AND FURY at @kramerbooks in DC. Well done, Charles Harder and @realDonaldTrump. pic.twitter.com/Mn2rNO2QdC
— Chris Geidner (@chrisgeidner) 2018年1月5日
書店で手に入らない状態が続き、電子書籍は25万回以上、オーディオブックは10万以上のダウンロードされた。
1-2日間の集計にもかかわらず、ニューヨークタイムズのNo.1ベストセラーに輝いた。
発売元のヘンリーホルト社は、1週間と経たないうちに、140万冊のハードカバーのオーダーを受け、70万冊を発送。同社としては史上最も早く売れたノンフィクションとなったと発表。
翻訳権はすでに32カ国に売れており、2月28日出版のスペイン語版を皮切りに、アラビア語、ポルトガル語、ベルギー語、日本語、フランス語、ドイツ語など各国語に翻訳され、発売されるという。
政治記者らからは、取材方法や情報の信ぴょう性については疑問の声も上がっているが、当選直後から就任式など印象に残る事件を通じ、ホワイトハウスの人間模様を垣間見ることができ、読み物として楽しめる内容となっている。