メトロポリタン美術館 3月1日より入館料の義務化をスタート

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メトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art、MET)は、3月1日に料金システムを改定し、ニューヨーク州の居住者以外は、入館料25ドル(約2,750円)の支払いが義務化されることとなった。
METでは、1970年以来、入館者が任意の金額(pay what they wish)で入場することができていたが、約50年ぶりの変更となった。

本日の窓口の様子。新料金システムを知らずに訪れた観光客も多かったようだ。

メトロポリタン美術館
©mashupNY

新料金システム

▪️NY州以外のビジター
大人 25ドル
シニア(65歳以上) 17ドル
学生 12ドル
メンバー、パトロン 無料
子供(12歳以下)  無料
*購入した入場券は、通し3日間は、MET、「メット・ブロイヤー」(Met Breuer)、「クロイスターズ美術館」(the Cloisters)に入場が可能。
*学生は学生証を提示すること。(スタッフによると、日本の学生証でも適用可)

▪️NY州の住民、NY,NJ,CT在住の学生は任意
推奨金額(suggested price)は以下の通り
大人 25ドル
シニア(65歳以上) 17ドル
学生 12ドル
子供(12歳以下) 無料
*入場券は、同日に限り、MET、「メット・ブロイヤー」(Met Breuer)、「クロイスターズ美術館」(the Cloisters)に入場可能。
*入館の際は、NY州のID、NYライブラリーカード、郵便住所が記載された請求書などの提示が求められる。

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義務化の背景

メトロポリタン美術館
THE METROPOLITAN MUSEUM OF ART©mashupNY

メトロポリタン美術館が、任意の金額で入館することができるのは、市の所有地を無償で貸し出す代わりに、美術館を無料で一般に解放するという法律が根拠となっている。
運営費用は、民間からの寄付と公的資金で運営されているが、現在、財政赤字となっており、入館料の支払いを義務化することが、今年の1月に正式発表された。

NYタイムズによると、過去13年間で、メットの入館者数は470万人から700万人に急増する一方、「推奨された」入館料を支払う人の割合は、63%から17%に減少した。地元紙amNEW YORKによると、任意で支払われた入館料の平均金額は9ドルとなっている。

新たな料金システムの導入で、美術館には年間600万ドル(約660億円)の安定した歳入が見込める。現在の入館料による歳入は、全体の運営予算305億ドルのうち14%(4,300万ドル)の割合を占めるが、今後16-17%(4,900万ドル)になると予測されている。
ニューヨーク市による美術館への年間補助金も削減され、その一部は文化的組織へ回される。

サンフランシスコ在住のAarti Kelapure氏は、「METは、いままで同様に無料で開放されるべき」とオンラインで請願書の募集をスタートさせた。

この請願に対し、METのプレジデント兼CEOのダニエル・ヴァイス(Daniel Weiss)氏は、「任意の入場料金は、一般の人々が、この素晴らしい機関をサポートすることに貢献できることを目的としている。おそらく現在METが直面している問題は、みんなMETが入場無料だと思っていることであり、実際は、毎日訪れるビジターのサポート次第となっている。」と声明で述べている。