不法移民を取り締まる「ゼロ・トレランス政策(不寛容)」(zero tolerance policy)により、米国に不法入国する移民親子が強制的に引き離されている状況に関し、懸念を表明していたメラニア(Melania)大統領夫人は21日、子供たちが保護されているテキサス州のシェルターを電撃訪問した。
今回の訪問は、夫人がテキサスに着くまで、一般に公となっておらず、米国では大きな話題となった。テキサス州マッカレン(McAllen)のニューホープチルドレンシェルターに約75分間滞在したメラニア夫人は、子供たちや施設の教育担当者らと面会し、職員らに子供たちができるだけ早く両親と再会できるよう希望を伝えたという。
ジャケットの文字が話題に
テキサス訪問に加えて大きな論議を巻き起こしたのは、メラニア夫人の着用したジャケットの文字だ。ホワイトハウス付近の近くのアンドルーズ空軍基地から、テキサスに向かう専用機に乗り込んだジャケットの背中には、「I REALLY DON’T CARE. DO U?」(私は、全く気にかけていないわ。でしょ?)というグラフィック文字が書かれている。
メラニア夫人の服装は、英デイリー・メールが一報を報じたあと、各社が揃って服装の件を報じた。
その解釈をめぐっては様々で、現在シェルターで拘留されている移民親子への対して「気にしない」という意味だと思った人や、大統領なんか「どうでもいい」と思った人などがおり、一体彼女は何を考えているのかと困惑する声や批判が寄せられた。
メラニア夫人が着用したのは、大手カジュアルブランド、ザラ(ZARA)の39ドルのミリタリー風ジャケットで、2016年に発売されたものだという。
夫人のコミュニケーション・ディレクターのステファニー・グリシャム(Stephanie Grisham) 氏は、メディアからの質問に対し、「これは、ただのジャケットだ。隠されたメッセージはない。」と夫人の衣装について声明を発表。テキサスへの訪問は非常に重要であり、メディアの報道がこの件に集中しないことを願うと述べた。
Today’s visit w the children in Texas impacted @flotus greatly. If media would spend their time & energy on her actions & efforts to help kids – rather than speculate & focus on her wardrobe – we could get so much accomplished on behalf of children. #SheCares #ItsJustAJacket
— Stephanie Grisham (@StephGrisham45) June 21, 2018
トランプ大統領も言及
騒動が巻き起こったあと、トランプ大統領は、夕方のツイッターで、メラニア夫人の服に書かれたメッセージに言及。「(メッセージは)フェイク・ニュース・メディアについて言ったもので、メラニアは、どんなにメディアが不誠実か分かったんだ。まさに、彼女はもうこれ以上、気にしないってことだ。」と述べた。
“I REALLY DON’T CARE, DO U?” written on the back of Melania’s jacket, refers to the Fake News Media. Melania has learned how dishonest they are, and she truly no longer cares!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) June 21, 2018
ニューヨークタイムズは、夫人の洋服の選択は、トランプ大統領の発案であり、メディアから大きな注目を浴びるテキサスを訪問する夫人を利用して、多くの視聴者へアピールするためだったと見解を述べている。
出発時の気温は27度近く、ジャケットは不要だったことや、テキサスではジャケットは一切着用しておらず、戻った時に再びジャケットを着用してメディアの前に登場したと状況を説明。メッセージは、明らかに大統領からメディアに対する苦情だとし、今回の件を「メディアとの戦いを新たなレベルへと持ち込んだ。」と述べている。
ニューヨークのコンサルタント会社リテール・ドクター(the Retail Doctor)のCEO、ボブ・フィップス(Bob Phibbs)氏は、元モデルのメラニア夫人とトランプ氏は、「すべての服装に、何らかの意図とステートメントが存在することを知っており、彼らにとってイメージが全て。彼女もそのパワーを熟知している。」と、今回の服は、偶然ではなく何らかの意図があったとタイムズのインタビューに回答している。
メラニア夫人のテキサス州への訪問は、今回で2度目となり、前回はハリケーン「ハービー」により、未曾有の被害を受けた被災地を訪問した。その際、ピンヒールを着用していたことがメディアに取り上げられ、災害地に行く服装として不適切だと非難を浴びている。
これまで夫人の服装はメディアで度々話題となっており、その逆手を取った大統領だが、引き離された子供への人権侵害が問題視されており、さらなる論議を巻き起こしそうだ。