ヘンリー王子とメーガン妃の称号維持、英議会で問われる可能性

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ヘンリー メーガン

2020年に王室を離脱し、現在カリフォルニアに暮らすヘンリー王子とメーガン妃。離脱後も「サセックス侯爵・侯爵夫人」を名乗り活動していることに、一部で批判の声が上がってきたが、称号剥奪をめぐる議論が、近く英国議会で本格化するかもしれない。

英王室の解説者ジョナサン・サセルドティ氏は、Foxニュースのインタビューで、英保守党のボブ・シーリー議員(Bob Seely)が現在、「1917年称号剥奪法」の改正を投票にかけることを可能とする議員立法の提出を計画していると話した。

第一次世界大戦中に定められた同法は、君主やその同盟国に対して武力を行使した者や、敵を支持した王族から称号を剥奪することを認めるもので、これにより当時4人のドイツ人が爵位を奪われた。昨年アンドルー王子の称号剥奪論議が持ち上がった際にも話題になったが、法解釈では、今日の状況に適用するのは難しいとも伝えられていた。

サセルドティ氏によると、シーリー議員が法案の検討をはじめたのは、昨年12月にネットフリックスで夫妻のドキュメンタリー番組「Harry & Meghan」が配信された後だったという。

番組には、タブロイド紙に対する非難と並び、王室に批判的な主張が多分に含まれた。

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実際、シーリー議員は第1弾が配信された翌日の12月9日、自身のツイッターアカウントで、ヘンリー王子を名指しし、「君主制が好きでないなら、その一員になるべきではない」と非難。「称号を使用することや、王室を侮辱するのをやめるべきだ」としたほか、自主的に返上しないならば、議会が剥奪に動くべきだと主張していた。

1月に発売されたヘンリー王子の回顧録「スペア」(Spare)もこれに拍車をかける結果になった。サセルドティ氏は、出版直後にシーリー議員と話しをしたと明かし、「本はまったく事態の助けにならなかったと思う」と語った。

法律の草案は2月中旬に完成する予定で、シーリー議員は、2~3週間以内に出来上がれば、国会で審議されることになると話しているという。

サセルドティ氏は、修正法案は、741人のメンバーから成る枢密院にサセックス家の称号を剥奪する権限を与えるものだと説明。戦争で敵国に属する人物に適用した法律を利用することに「現職議員が、二人の行為に強く反発し、同じ法律を使って称号を剥奪しようとするのは驚くべきだ」と話した。

一方、ヘンリー王子の回顧録「スペア」は、多くの人々から王室と君主制に対する「裏切り」とみなされており、王族は通常、このように振る舞うことはないとも指摘。出版後、ヘンリー王子の好感度は下降しており、王室批判を繰り返しているにも関わらず、称号を使用する必要があるのか疑問を抱いている人は多いと語った。さらに「称号を保持するという特権には重大な責任が伴い、義務を果たすことなしに、利益だけを享受することはできない」と厳しい考えを述べた。

なおスナク首相は昨年12月、政府が「王室の問題にコメントすることは決してない」と述べるなど、シーリー氏の法案を支持しない意向を示しているという。

ヘンリー王子夫妻の称号使用については、米国からも疑問の声が上がっている。

夫妻は現在、離脱の際の王室との取り決めで「殿下・妃殿下」(HRH)の敬称は使用していない。ただしサセックス公爵夫妻の名のもと、米国民に大統領選への投票を呼びかけたり、育児有給休暇の法制化を求めて、ロビー活動を行ったりしており、国内の議員からは英王室による内政干渉にあたると批判する声が上がっている。