レバノンの首都ベイルートで大規模な爆発が発生した後、ソーシャルメディアでは、爆発の光景にミサイルのような落下物を挿入した改ざんビデオが出回った。
ビデオを分析をしたAP通信は、ビデオを一コマずつ見ると、ミサイルが途中で曲がっており、漫画のような形をしていると指摘。動くミサイルの大きさや角度に変化がなく、衝突前に消えていると説明している。
またデジタル・フォレンジックを研究するUCバークレーのハニー・ファリッド教授は、同社に対して、ビデオは「明らかなフェイク」と回答。「ミサイルが大きすぎて、物理的に適当ではなく、移動するスピードから想定されるぶれがない」と述べた。
Youtubeに投稿されたビデオは、1日経たないうちに34万8,000回再生された。ビデオには「オンラインで入手可能な最も接近した爆発角度」とキャプションがつけられ、「まだ事故だと信じられますか!!??」などと書かれていた。
ツイッターでは7,000回以上リツイートされた。ビデオが本物だと考えたユーザーも多いという。
ミサイルの専門家のミドルベリー国際大学院モントレー校のジェフリー・ルイス教授はAP通信に、「アマチュアっぽくなければ、デジタル加工を調査するとともに、実際のミサイルのタイプを特定し、再突入軌道と速度を推定できる」と述べ、「しかし、これは悩むまでもない。ディープフェイクどころか、ばかばかしいフェイクだ」と語った。
ニューヨークポスト紙によると、ビデオの一部は、ベイルートを拠点とするCNNのソーシャルメディア・プロデューサー、Mehsen Mekhtfe氏のフェイスブックページから取られた。同氏はCNNに、多くの人が連絡をしてきて、オリジナルビデオがフェイクだと主張したと述べている。
▼オリジナルビデオ
▼オリジナルと改ざん動画の比較
ビデオはTikTokとインスタグラムにも投稿された。フェイスブックに拡散された動画の一部には「誤情報」と警告されているという。ツイッターでは、複数の動画に「操作されたメディア」のラベルが表示されている。
4日に起きた爆発で、これまでに154人が死亡し、5000人がけがをしたと報じられている。原因について、倉庫内に硝酸アンモニウムが危険な状態で保管されていたことが指摘されている。