トランプオーガニゼーションCFOの元家族 マンハッタン地検に捜査協力、資料を提出

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トランプ前大統領と一族の企業に対する捜査を進めているマンハッタン地検は、トランプオーガニゼーションのアレン・ワイセルバーグ最高財務責任者(CFO)の元義理の娘から新たな資料を入手した。ワシントンポスト紙が報じた。

息子のバリー・ワイセルバーグ氏と2004年から2018年まで婚姻関係にあったジェニファー・ワイセルバーグ氏は8日、大陪審召喚状を受け、3箱分の資料とラップトップコンピューターを引き渡した。同氏は以前、7箱分の資料を提出したことを明らかにしている。

ポスト紙が入手した召喚状のコピーによると、サイラス・バンス検事は、ジェニファー氏が所有する元夫の銀行口座、クレジットカード、純資産、納税申告書に関するすべての記録の引き渡たしを求めており、特にトランプ・オーガニゼーションとスケートリンクに関連する記録の提出を要求した。

バリー氏は20代でトランプ・オーガニゼーションに加わった。最初の一年間はミスユニバースに関わり、その後、ニューヨークのセントラルパークにあるウォルマン・スケートリンクの管理を任された。トランプ・オーガニゼーションはニューヨーク市の契約の下で、1986年から同リンクを運営している。

ジェニファー氏が引き渡した記録は、2017年に始まった夫婦間の離婚訴訟に提出された資料で、バリー氏の証言録取も含まれている。

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この中で、バリー氏は例年10月から4月まで運営しているスケートリンクで、”記憶によると”年間20万ドル(2,200万円)の給与を受け取っており、4万ドル(440万円)のボーナスを2015年から2017年に得たと証言していた。

トランプ・オーガニゼーションが夫婦に複数年にわたって無料で提供したアパートについて、税金を支払ったかどうか「わからない」と答えていた。同取引については、税務申告で報酬としていない場合、税法違反に問われる可能性が指摘されている。

証言した収入と税務署に対する申告内容の不一致を指摘されると「私は会計士ではない」と述べつつ、「私はいくら稼いだかわかっている」と証言した。

これとは別の証言録取では、父親のアレン・ワイセルバーグ氏が生活費の大半を支払っていることを認めるなど、多額の経済支援を受けていることを明らかにしている。

証言によると、夫婦が後に暮らしたアパートの7,900ドルの家賃やレンジローバーの毎月のリース代546ドル、子供たち通う私立学校の費用各25,000ドル、娘のヘブライ語の学費などすべてが父親から支払われた。さらに夫婦の歯科治療の費用、離婚訴訟に関わる弁護士の顧問料もワイセルバーグ氏が負担した。

またバリー氏は150足以上を所有するスニーカーのコレクターで、以前トランプオーガニゼーションのビルのテナントだったナイキストアで購入する際に「定価で買ったことはない」とディスカウントを受けていたことを明かしている。

トランプ氏の父フレッド氏の代から働くアレン・ワイセルバーグ氏は、長年一族の企業の資金の流れを監督しており、捜査の重要証人となりうるとみられている。ニューヨークタイムズは先月、検察官はワイセルバーグ氏に捜査の焦点を当てていると報じた。

専門家らは、トランプ氏のような複雑事件について、税金詐欺の立件は容易ではなく、ワイセルバーグ氏のような内部証人なしには、トランプ氏が意図的に不正を働いたことを陪審員に説得するのは困難だと指摘している。

トランプ氏の元弁護士、マイケル・コーエン氏は雑誌ニューヨーカーの取材に、「彼は息子たちをムショ送りにさせないだろう。彼は老後を矯正施設で送りたいと思わないだろう」と述べた上で、検察がワイセルバーグ氏または家族を起訴する姿勢を示すならば、司法取引に応じるだろうとの考えを示している。

マンハッタン地検は、トランプ氏とトランプ氏の企業に対する刑事捜査を2018年に開始した。当初、捜査は2016年の選挙活動中に支払われたとされるポルノ女優への口止め料に関するものだった。現在は範囲を拡大し、トランプ氏が税金や融資、保険で最良の条件を得るために物件の資産価格を不正に操作をしていなかったかに焦点が当てられていると報じられている。