米製カミカゼドローン、ロシア隣国リトアニアが購入

2016

リトアニアの国防省は、「カミカゼドローン」の通称で知られる米エアロバイロンメント社製の対戦闘車両向け無人爆撃機「スイッチブレード600」を4800万ドル(約64億円)で購入すると発表した。600型の調達は、米国以外の国では初めて。

DefenseNewsによると、リトアニアのアルビダス・アヌカスサス国防相は声明で、「我々は米国に続き、世界で初めてスイッチブレード600を購入する国となる。この戦闘用ドローンは、最大40km先の敵の戦車やその他の装甲車両を破壊することが可能だ」と述べた。購入台数については明かされていない。

アヌカスサス国防相は今月中旬、米国を訪問し、オースティン長官らとウクライナの軍事支援などについて協議を行ったほか、米国との間で、高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」の発射装置8台と訓練用および戦闘用弾薬を、4億9500万ドル(約660億円)で購入する契約を締結したことを明らかにした。この中には射程300kmの長距離ミサイルATACMSも含まれるとしている。実際の配備は2025年になる。

リトアニアはまた、小型で近距離用の「スイッチブレード300」についても「近い将来」米国から購入する計画であることを声明で示唆。欧州の同盟国に対する軍事支援の一環として、米政府から資金面での協力を得られることを望んでいる、と述べている。

「スイッチブレード」は、カメラやGPS、誘導システム、爆弾を搭載し、数キロ離れた標的に本体ごとターゲットに突入して破壊するため、「自爆型ドローン」や「カミカゼドローン」と呼ばれる。米国の軍事支援を受けるウクライナは、すでにロシア軍との戦闘において300型を活用している。

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300型が人物をピンポイントで攻撃するのに対し、600型は、より遠方にある戦車や装甲車両を破壊する目的で開発され、飛行時間は40分、40キロ以上先の目標物に到達することができる。重さは約23キログラム。

最近はロシアの近隣諸国でも戦闘用ドローンを配備する動きが相次いでおり、ポーランドは今年10月、攻撃用ドローン「MQ-9Aリーパー」のリース契約を製造元の米ジェネラル・アトミックス社と結んだほか、同社の「MQ-9Bリーパー」についても購入契約を進めている。ルーマニアは先週、イスラエルのエルビット・システムズ社と監視用ドローン「ウォッチキーパーX」を最大7台購入する枠組みで合意した。