副大統領をオファーしたカニエ・ウェスト、トランプ氏に怒鳴られる

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先週末、2度目の米大統領選への出馬の意向を明らかにしたラッパーのカニエ・ウェスト(45・イェに改名)。その後、トランプ氏に自分の副大統領候補としての出馬を打診したと報じられていたが、この日の出来事を自らの口で語った。

カニエは22日、フロリダ州にあるトランプ氏の邸宅マールアラーゴを訪れ、トランプ氏に「自分のランニングメイトになってほしい」と告げたとツイッターで報告。トランプ氏の反応についてフォロワーから予想を募っていた。同日には、マイアミの空港で、カニエが白人至上主義者でホロコースト否定論者として知られるライブストリーマー、ニック・フエンテス氏と一緒にいたとの目撃情報もあり、カニエの報告を裏付けた。

それから2日後の24日、カニエはツイッターに「マールアラーゴの報告」と題した動画を投稿。ロサンゼルスの「Yeezy本部」で撮影されたというその動画の中で、トランプ氏と会食した席で「怒鳴られた」と語った。

カニエは動画で「トランプ氏はつまり、会食の席で僕に怒鳴った。選挙で負けるぞと言った。歴史上それでうまくいった奴がいるか?って」とトランプ氏の発言を振り返り、「僕は、待って待って待って。あなたはイェに話してるんですよ、と言った」と当時のやりとりを明かした。

カニエは自分の「ランニングメイトに」という申し出に、トランプ氏が「不安になった」のだろう、と推測。「思いもよらないことの中でも、最悪の内容だったんだと思うよ」と語った。

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動画では自身の政治方針に言及。「僕たちも、トランプ氏を好きなアメリカのクリスチャンも、トランプ氏が保守派だと知っている。だから全面的に聖書に沿った政策にする」と話した。

トランプ氏 白人至上主義者との会食めぐって非難

この日はカニエと夕食を共にしたと報じられたトランプ氏だが、その後、同行していたフエンテス氏も同席していたことが判明。トランプ氏は、フエンテス氏について「何も知らない」と弁解したものの、各方面から非難の声にさらされた。

米国最大のユダヤ人団体、名誉毀損防止組合(ADL)のジョナサン・グリーンブラットCEOは、ニューヨークタイムズの取材に「彼(フエンテス氏)は、悪質な偏屈者で、共和党ユダヤ人連合を含む両政党の指導者から非難されている」とした上で、大統領を目指す者が「彼と会い、食事を分け合って時間を共にすることで、彼を正当と認めるなどとは、あきれたものだ」と非難。「ヘイトを非難し、ヘイターと袂を分つと主張することはできない」と、トランプ氏は候補者として不適格と強調した。

過去2回の大統領選でトランプ氏を支援したクリス・クリスティ元ニュージャージー州知事は「もう一つのひどい判断力の欠如の例」と主張。「支援することのできない候補者」に自らを陥れるものだと非難した。

NBCニュースによると、トランプ氏の顧問を長年勤める人物は匿名で取材に答え「悪夢だ」と事態の重大性を話し、「人々がデサンティスをトランプの対抗馬と考えるならば、これがもう一つの理由だ」と危機感を示した。

なおカニエは、今回の動画で「トランプは本当にニック・フエンテスに感銘を受けていた。2020年大統領選で去っていった多くの弁護士らと違って、奴は実際にトランプのロイヤリストだってことに」と、両者の出会いを語った。

カニエもトラブル続き

カニエをめぐってはユダヤ系への差別発言を繰り返したとしてアディダスなどの提携ブランドが相次いで契約解消を発表したが、これにより推計15億ドル(約2100億円)とされたカニエの資産総額は約4分の1の4億ドル(約560億ドル)まで落ち込んだとされる。

カニエがマールアラーゴを訪れた22日には、ローリング・ストーンズ誌がアディダスと提携当時のブランド「Yeezy」のスタッフらによる告発記事を掲載。カニエがスタッフに脅迫まがいの行動を繰り返したとする内容で、その中には2018年のスタッフミーティングの際、キム・カーダシアンのわいせつな動画を見るよう強要されたという告発もある。

なおカニエは2024年の大統領選出馬を公言しているものの、正式な選挙登録はしていない。