米3月雇用統計 70万人減、失業率4.4%に

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米労働省が3日に発表した3月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が701,000人減となり、2010年以来初めて減少した。減少幅はリーマン直後の2009年ピーク時の80万人に近づいた。

発表によると、レジャー・ホスピタリティ業が45万9,000人減と落ち込み、このうち41万7000人は飲食業で発生した。このほかヘルスケア・ソーシャルアシスタンス、専門職・企業サービス、小売りの減少も顕著だという。

失業率は前月の3.5%から4.4%に上昇し、2017年8月の水準に並んだ。上昇幅は1975年以来最大。

労働省は、新型コロナウイルスに対する感染拡大防止策を反映したものだと説明している。一方、失業率のベースとなる世帯調査は3月8日から3月14日の回答を参照したもので、大半の州が3月後半に自宅待機命令などの感染防止策を発動したことを考慮すると、今回の数値は始まりに過ぎない。

これまで自宅待機命令を発動している州は37州に達している。ニューヨークタイムズによると、市や郡単位の命令を含めると2億9,400万人が自宅待機を求められている。またトランプ政権は3月16日に発行したソーシャルディスタンシングなどの方針を定めたガイドラインについて、当初15日間の予定を延長し、4月30日まで従うよう国民に求めた。

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自粛長期化に伴い、雇用情勢のさらなる悪化は必至で、オックスフォード・エコノミクスは今後数週間で2,000万人が失業し、失業率は12%まで上昇すると予測している。ゴールドマンサックスはさらに厳しく、失業率は15%と予測。同社は今後3カ月間のGDPは年率換算で34%減少する可能性がある推定している。

失業申請 2週間で1千万人

前日に労働省が発表した3月28日までの1週間の新規失業保険申請件数は664万8,000件で、2州連続で過去最多を更新。前州と合わせて約1000万人が新たに失業申請を行った。

ニューヨーク州では、通常1週間あたり5万件程度の失業給付に関する問い合わせが、700万件に達したという。3月末に申請をした在住者の話では、ウェブサイトは登録中に何度もエラーを起こすなどオンライン申請に支障が生じている。電話は、数十回かけてみてようやくガイドの音声につながるものの、その後、職員と話をするまで1時間以上待たなくてはならなかった。給付額に関する明確な説明がなく、受け取ってみるまで生活の見通しが立たない。

先月27日、2兆ドル規模のコロナ対策法(CARE Act)が成立した。この中には、適格者に対して、各州が定める失業給付に加えて毎週600ドルを支給するほか、フリーランスやギグワーカーなど、これまで失業給付の対象とならなかった労働者に支援を拡大するなどの失業保険に関連する規定が含まれている。