トランプ氏の娘婿で、ホワイトハウスの上級顧問ジャレッド・クシュナー（Jared Kushner）氏は26日、Foxニュースの「Fox & Friends」に出演し、トランプ政権の黒人コミュニティへの貢献や政策をアピールした。この中で、アフリカ系アメリカ人は成功を望むべきだと主張した。
クシュナー氏は「黒人のコミュニティは大半は民主党支持者だ」とした上で、「トランプ大統領の政策は、彼らが不満を示している問題から脱却できる内容だ」と主張。「彼らが成功を望まないのであれば、彼らを成功させたいと思わせることはできない」と述べた。
この発言の前、クシュナー氏はラッパーのアイス・キューブ（Ice Cube）と人種問題を改善するため、具体的な解決策を協議したことを明らかにし、「計画をより良いものにしてくれたことに、大変感謝している」と述べた。アイス・キューブは先日、トランプ陣営が発表した黒人コミュニティの改革案「プラチナ・プラン」の顧問を務めると発表している。
アイス・キューブに謝意を示す一方、「美徳シグナルを送る人を数多く見てきた。彼らはインスタグラムで泣いたり、ジャージにスローガンや、バスケットボールのコートにメッセージを書いたりしているが、率直に言って、人々を前向きにさせるより、分断を目的としているものだ」と人種問題を巡るセレブの言動を批判した。
クシュナー氏の発言に非難
クシュナー氏の黒人の成功を巡る発言は、体系的人種差別を無視した発言として、批判の声が上がった。
ジョージ・フロイド氏やブリオナ・テイラー氏の遺族の代理人ベンジャミン・クランプ（Benjamin Crump）弁護士は「クシュナーは、あたかも黒人が成功を望んでおらず、怠惰なクレーマーだと述べているかのようだ。あからさまに見下した発言は、黒人のコミュニティと何世紀も受け継がれてきた課題を全く理解していない。このレベルのエゴから問題を修正するのは不可能だ」と強く非難した。
民主党全国委員会の報道官は「トランプ氏の無神経さと、黒人の命を気にかけていないことの表れ」と非難。われわれの意見を尊重するだけでなく、率先して行動してくれるバイデン氏とハリス氏のような指導者が必要だと主張した。
ドン・ベイヤー（Don Beyer）下院議員（ヴァージニア州・民主党）は「彼は三塁で生まれたのに、三塁打を打ったと思っている。米国の歴史の中でクシュナーほど自力で稼ぐことなく、富や権力を与えられている者はほとんどいない」とクシュナー氏の成功は、生まれた環境によるものだと非難した。クシュナー家は、不動産業のクシュナー・カンパニーズを営む富豪として知られる。
ホワイトハウスのマクナニー報道官は、ネットのトロールは「文脈を無視したものだ」と反論。「刑事司法改革や黒人大学への記録的な額の資金提供、黒人の低い失業率、収入の増加」などトランプ氏の黒人コミュニティに対する業績を挙げ、「民主党の政治家とは異なり、トランプ氏は共同の目標で成功を収めている」と指摘した。
なおニューヨークタイムズとシエナ大学が実施した最新の世論調査では、黒人の90％がバイデン氏に投票を予定、またはすでに投票したと回答している。
