米アパレル J.クルーが破産法の適用申請

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J.クルー(J.Crew)とメイドウェル(Madewell)を展開する米アパレル、J.クルー・グループ(J.Crew Group, Inc.)は4日、裁判所に連邦破産法第11条の適用を申請をしたと発表した。米国で新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以来、大手小売りで破産申請を行ったのは、同社が初めて。

同社は声明で、債権者と「債務の再建およびバランスシートをデレバレッジする」ことで合意に達したと発表。16.5億ドルの債務を株式化することで同意したと述べた。

続けて、再建を促進するため、親会社のチノス・ホールディングス(Chinos Holdings)が連邦破産法11条適用をバージニア州東地区連邦地方裁判所に申請したと述べた。経営再建を進める間の運転資金4億ドルを調達したとしている。

破産申請中もECの営業は継続する。2006年にスタートしたデニムブランドのメイドウェルはJ.クルー・グループにとどまる。

メイドウェルは、昨年9月に米証券取引委員会にIPO申請書を提出しおり、今春にも上場を予定していると報じられていた。

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昨年の報告では、同社の従業員は1万4,500人で、J.クルーとメイドウェル、J.クルーファクトリーを含む約500店舗を展開している。

J.クルーは1947年、シナダー家が低価格の女性服「Popular Club Plan」を発売する家族経営の店としてスタート。1983年に名称を変更し、クルーネックセーターやタートルネックのトップスなどを販売するカタログカンパニーとして再編成した。
ミシェル・オバマ氏は2008年、トーク番組「The Tonight Show With Jay Leno」にJ.クルーのアンサンブルを着用して出演したことは、大きな話題となった。
1997年、TPGキャピタルとレナード・グリーン・パートナーズが、創業者のシナダー家から買収し、2003年に店頭公開した。
2011年には、マス・マーケットを対象としたブランドとして初めてニューヨーク・ファッション・ウィークに参加した。
2017年以降は売り上げが減少していた。

小売業界ではパンデミックに伴う店舗閉鎖の影響などにより、経営環境が急速に悪化している。商務省の発表によると、3月の米国の小売売上高は前月から8.7%ダウンした。売り上げが最も激しく落ち込んだのは衣料品・アクセサリー店で、2月から50.7%減少した。