まるでパニック映画 歴史的豪雨でニューヨークが水浸し

ハリケーン「アイダ」は1日夜、熱帯低気圧に勢力を弱め、ニューヨーク州などのトライステートエリアに到達。記録的な大雨をもたした。

夕方頃から降り始めた雨は、帰宅中の人々を直撃。SNSには、冠水した道路や、地上から滝のように雨水が流れ込む地下鉄の様子など、衝撃的な動画が多数投稿されている。

洪水の中で食べ物を配達するギグワーカーの様子も投稿されている。スタッフの命を危険にさらすとして、デリバリーのオーダーは控えるべきだと指摘する声も上がった。

ブルックリンで撮影された床上浸水の様子

冠水した道路に放置された車

ニューアーク空港や地下鉄も一時閉鎖された。

予定されていた全米オープンテニスの試合も翌日に延期。屋根付きのルイ・アームストロング・スタジアムには、強い雨風が吹き付けられている。

大洪水は温暖化の象徴だとして、映画「デイ・アフター・トゥモロー」と比較する人も。

米国立気象局によると、セントラルパークでは午後9時から午後10時まで、1時間の雨量が80ミリを超え、観測史上最多となった。1日の総降水量も183ミリを記録。1927年の97ミリを超え、過去最多となった。

なお、1時間の降水量は、先月21日に記録を更新したばかりだった。この日は、大規模なイベント「The Homecoming Concert」が開催されていたが、熱帯性低気圧「アンリ」の影響で、1時間49ミリの激しい雨が降り、コンサートは途中で中止されている。

夜間には、ブルックリンやクイーンズ、マンハッタン、ホワイトプレーンズなどの地域に鉄砲水への警戒を呼びかける「flash flood emergency」が出された。ニューヨークで、鉄砲水警報が出されるのは、今回が初めてだという。

豪雨によりニューヨーク州で15人(大半はクイーンズとブルックリン)、ニュージャージー州で23人が死亡した。

クイーンズのウッドサイドでは、2歳の少年と48歳の女性、50歳の男性が地下室で死亡しているのが発見された。移民が密集して暮らすクイーンズでは、地下に住む家族も多い。ニューヨーク市警察によると、市内で死亡が確認された9人のうち、8人は地下室に住んでいたという。

カテゴリー4のアイダは29日にルイジアナ州に上陸し、ニューオーリンズ全域で停電するなど壊滅的な被害をもたらした。予期せぬ降水量とはいえ、市長の対応が遅かったのではと指摘する声も上がっている。

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