米で飢える家庭が増加

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米国では昨年、食料不足に悩む家庭が増加したという。

農務省が25日に発表した報告書によると、2022年の一年間を通して「世帯全員が活動的で健康的な生活を送るのに十分な食料がいつでも入手できる」状態にあった家庭は87.2%だった。

一方、少なくともある時期に食料不安を抱えた家庭は12.8%で、前年の10.2%、2020年の10.5%から「統計的に有意」な上昇をみた。このなかでも「食糧を入手するための資金や資源が限られているために、世帯の誰かが食物摂取量の減少や食事パターンが乱れる」深刻な食料不安に直面した家庭は、2021年の3.8%から5.1%に増加した。

専門家からはインフレの影響とパンデミック時の政府主導の支援策が次第に期限切れとなっていることを指摘する声が上がっている。

ワシントンポスト紙によると、非営利組織「Food Research & Action Center」の栄養政策ディレクター、ジェリ・ヘンチー氏は「これはパンデミック対策の巻き戻しと食料価格の高騰がどのように定着しているかを浮き彫りにしている」と指摘。「家族にとって恐ろしい嵐のようなものだ」と語った。

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同紙によると、一般にフードスタンプとして知られる政府による食料費補助支援プログラムSNAPの給付額の増額と登録要件の緩和は、今年はじめまで続いていたが、その他の連邦および州レベルのパンデミックに関連する支援策の多くが終了した。5,060万人を数える公立学校の全生徒を対象に昼食を無料で提供する政府のプログラムは、昨年9月に終了期限を迎えた。

2023年の食品の価格の伸びは昨年に比べて緩やかになると予想されているものの、過去平均を上回るペースで推移するとみられている。 農務省によると、今年の食品価格は全体で5.8%上昇すると予想されている。2022年は前年に比べて9.9%の伸びを記録した。

SNSでは最近、冗談混じりに食品にいくら費やしているかを公開する投稿が話題になっている。

コメント欄では購入品の内容をめぐる議論が多いものの、食品価格に人々が敏感になっている様子が窺える。

インフレは個人の貯蓄も直撃している。

アトランタ連銀によると、5月に1兆ドルを超えていた個人貯蓄は、8月に7,941億ドルまで減少した。パンデミックの初期は、政府の景気刺激策により約6兆ドルまで膨れ上がっていた。

家計の債務も増加の一途で、第2四半期の国民全体の家計債務は過去最高の17兆ドル600億ドルに達した。このうちの1兆ドルはクレジットカードの債務が占める。

ただし経済は好調で、今週発表されたGDPの第3四半期の伸びは、個人消費が主導し、5期連続でプラスとなった。専門家からは、人々はインフレの中で生活水準を維持するために、所得の伸びよりも早いペースで支出を増やし、貯蓄を取り崩しているといった指摘も上がっている。

なおバイデン大統領は、GDPの予想を上回る拡大について「アメリカの消費者とアメリカの労働者の回復力の証だ」と述べ、「中間層を成長させて経済を伸ばすというバイデノミクス」の成果によるものと強調している。