米下院、Qアノン陰謀論の非難決議案を可決

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Brady James Photography / Shutterstock.com

米下院議会は2日、Qアノン陰謀論に対する非難決議案を371-18の多数で可決した。

決議案は8月に、デンバー・リグルマン議員(共和党)とトム・マリノウスキ議員(民主党)が提出していた。

決議案では、Qアノン陰謀論と、陰謀論を拡散して器物損壊や法務執行官への攻撃を促進する「その他すべての集団とイデオロギー」を非難するとともに、FBIに、これらのグループによる暴力や脅迫、嫌がらせなどの犯罪行為の抑止に注力することを推奨するとしている。また情報当局に、海外からの支援や、海外の過激派組織との関係を明らかにすることも推奨している。

決議案には複数の事例が挙げられており、この中には、今年5月、バイデン氏やクリントン氏を脅迫する内容をSNSに投稿した後、ニューヨークのイントレピッド海上航空宇宙博物館近くで逮捕された女性の事件も記載されている。

ジム・マクガバン下院議事運営委員長(民主・マサチューセッツ州)はQアノンは「集団妄想」で、「異常なカルトだと呼ばねばならない」と述べた。

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Qアノンは、ディープステートを支配するリベラルのエリートや著名人が、児童売春を行なっているなどと主張する陰謀論。最近では、9.11からワクチンまで「実質的に過去数十年の陰謀論を抱き合わせた」ものに拡大している。支持者の中には、反ユダヤ主義的な見解を示している者も多い。

FBIは「Qアノンを含む、過激な陰謀論」が「国内過激派の犯罪や暴力行為を全体的、または部分的に誘発する可能性」があると評価しており、「特定の人や場所、組織を標的とすることを促進し、結果、これらの標的に対する暴力の可能性を高める」と見解を示している。

今年の選挙では、複数の候補者がQアノンに肯定的な見解を示しているとして、メディアに取り上げられている。

ジョージア州の下院予備選を勝ち上がった共和党のマージョリー・テイラー・グリーン(Marjorie Taylor Greene)氏は、SNSでQアノン陰謀論を支持する発言をしていたほか、人種差別主義や反イスラム、反ユダヤ主義的な発言を繰り返していたとが報じられている。同氏の選挙区では、民主党の対抗馬が辞退しており、11月の選挙での勝利をほぼ確実にしている。

8月にグリーン氏が予備選に勝利をした際に、トランプ大統領はツイッターで、グリーン氏を「未来の共和党のスター」と称賛。「大勝利だ。おめでとう」と祝福していた。

この数日後のホワイトハウス記者会見では、Qアノンについて肯定的な発言を行い、野党だけではなく、共和党からも批判の声が上がっていた。