米第117議会で下院は、ダイバーシティ(多様性)とインクルーシビティ(包括性)を促進するため、行動規範の「父・母」や「チェアマン」など性差を表す言葉を、ジェンダーニュートラルな用語に置き換える法案を賛成多数で可決した。
民主党トップのナンシー・ペロシ下院議長は法案について、「歴史的に多様な民主党多数派の価値観と視点を反映する」と語っている。1日、議事運営委員会のジェームズ・マクガバン委員長(マサチューセッツ)と共に一連の改革法案を提出。4日の本会議で、賛成217、反対206で党派に沿って、承認された。
性差のある用語は以下の通り置き換えられる。(一部抜粋)
- 「seamen(海員)」→「seafarers」
- 「chairman(議長)」→「chair」
- 母や父、娘、息子、姉妹、兄弟など家族関係を示す用語→「parent」「child」「sibling」
- 「submit his or her resignation(彼または彼女の辞表提出)」 →「resign」
- 彼や彼女を含むフレーズ(he or she serves、he or she holds)→「such Member」「Delegate」 「Resident Commissioner」serves、holds
- 「himself」「herself」→「themself」
なお新法は、性差のある言葉の使用を禁じるものではない。
共和党下院トップ「バカバカしい」
共和党トップのケビン・マッカーシー下院院内総務はツイッターで法案を「バカバカしい」と一蹴。同氏は2011年、同性婚を禁止する結婚防衛法を支持している。
ケリー・ロフラー上院議員(ジョージア)も、「極左の優先事項」と非難。5日に行われるジョージア州の決選投票で、「自分を父や娘、母、息子と呼べるようにしたい場合は、私に投票するよう」呼びかけた。
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法案を提出したマクガバン氏は、Axiosに「世界的なパンデミックの最中に、極右の人間が議論したがっているのが、このことであるのは愚かだ」と共和党の反応を批判した。新法は「倫理的な抜け穴を埋め、性自認や性的指向に関係なく、すべての人々が倫理規定の対象となることを明確にするものだ」と語った。
なお一連の法案には、公用語の差し替えのほか、内部告発者の保護や、職務中や選挙で有罪判決を受けた議員に対する特権の廃止、「ダイバーシティ・アンド・インクルージョン」局の常設化などが含まれる。