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米レンタカー大手ハーツ、連邦破産法第11条の適用を申請。新型コロナ影響

米レンタカー大手、ハーツ・グローバル・ホールディングス(Hertz Global Holdings, Inc)社は22日、裁判所に連邦破産法第11条の適用を申請した

3月末時点で同社の負債額は、188億ドル(約2兆円)に達していた。破産手続き中は、10億ドル以上の手元資金で、傘下のハーツおよびダラー、スリフティなど全ての企業の事業を継続する。必要に応じて、新規借り入れなどを行う可能性があると発表した。また、全世界の従業員の約半数、2万人の削減を発表している。

欧州や、オーストラリア、ニュージーランドなど海外の事業は、破産申請の影響を受けない。

同社は声明で「Covid-19で旅行の需要が、急激かつ劇的に減少したことにより、企業の収益と先の予約が急減した。」と述べた。ポール・E・ストーン(Paul E. Stone)最高経営責任者(CEO)は「今回の措置は、われわれのビジネスの価値を保護し、事業の継続や、顧客へのサービス提供、パンデミックを乗り越え、将来より良いポジションを築くための、新しく強固な財政基盤を整えるための時間を与えてくれる。ロイヤルカスタマーが、われわれを世界で最も象徴的なブランドにしてくれた。彼らに将来の旅を提供できるのを楽しみにしている。」と語っている。
申請に至った背景に関して、債権者から、救済に関する長期的な合意が得られなかったことや、連邦支援による資金援助がレンタカー業界には適用されなかったと述べた。

CNNによると、ハーツは、全世界で56万8000台の車があり、12,000カ所の営業所やフランチャイズを展開する。このうち約3分の1は空港にある。
同社の収益の3分の2近くは、空港からのレンタルサービスによるものだという。4月以降、TSAを通過する旅行客の数は、前年比で94%減少した。空港以外では、事故で車を修理する人へのレンタルサービスも重要な収益だが、在宅勤務や失業により、自動車事故も大幅に減少している。パンミック以降、北米の従業員約12,000人を削減し、4,000人を一時解雇した。

1918年創業、全米初のレンタルネットワークを構築

ハーツは1918年、元フォード自動車のセールスマン、ウォルター・ジェイコブス(Walter Jacobs)氏がシカゴで「Rent-A-Car」として創業。フォードのモデルTを購入し、レンタカービジネスを開始した。1923年にシカゴのイエローキャブカンパニーのジョン・ハーツ(John Hertz)氏へと売却し、名称を「ハーツ」へと変更。ジェイコブス氏は社長職にとどまり、全米で初めてレンタルネットワークを構築した。シカゴミッドウェイ空港に初めてレンタルカーの営業所を開設し、片道レンタルを開始するなど、事業を拡大した。1987年にフォードが主要株主となった。2005年に3社のプライベート・エクイティ企業に売却した後、上場を果たした。