ニューヨーク市警察は、5日までに報告されたニューヨーク市でのヘイトクライム(憎悪犯罪)が、前年に比べ2倍に増加したと発表した。
昨年の憎悪犯罪件数は252件で、今年は503件だった。中でも、アジア人を狙ったヘイトクライムが急増。昨年の28件から129件へと、361%増加した。
差別発言から暴行事件に至るまで、アジア人が被害を受けたケースは、ニュースでも度々大きく報じられた。
今年3月、マンハッタンのヘルズキッチンでは、教会に向かう65歳のアジア人女性が、白昼の路上で、男から殴る蹴るの暴行を受けた。付近の建物一階にあるロビーでは、複数の男性がこの様子を傍観していた。
この翌月、路上で缶を集めていた男性が、暴行され、意識不明となって倒れているのが発見された。また、5月には、2人組のアジア人女性が、路上でハンマーを持った女に襲われた。このほかにも、すれ違いざまに顔面を殴られる、指を噛み切られた、「国へ帰れ」と罵られ、平手打ちされたなど、アジア人が無差別に暴行される事件が相次いだ。
We are investigating: Wednesday, April 7th at approx 7:36 PM, at 279 Grand Street, a 25-year-old female was sitting, talking to a friend, when an unknown individual made anti-Asian statements and slapped her in the face. Info? ☎️@NYPDTips 1-800-577-TIPS
— NYPD Hate Crimes (@NYPDHateCrimes) April 8, 2021
@NYPDShea @NYPD5Pct pic.twitter.com/Srv0MgEs1C
一方、反ユダヤ主義に関連する犯罪は、121件から183件に増加。反LGBTに関する事件は85件で、前年の29件から3倍近くとなった。
ジェームズ・エシッグ刑事部長は会見で、503件のうち、249件は容疑者の逮捕に至ったと説明。逮捕件数は106%増加しており、ヘイトクライム部隊の貢献をアピールした。
警察は、事件増加の背景について、偏見に基づくものに加え、精神障害を抱えた人物による犯行もがあると説明。さらに、ダーモット・シエイ警察委員長は、拘置所の収監率の低さにも言及した。
今年のヘイトクライム件数の内訳は、以下の通り。
*()内は2020年の犯罪件数
- アジア人:129(28)
- 黒人:30(34)
- 障害:0(0)
- 民族:7(0)
- ジェンダー:20(13)
- ヒスパニック:7(0)
- ユダヤ人:183(121)
- イスラム教徒:14(4)
- 宗教:8(12)
- 性的指向:8(29)
- 白人:20(10)