映画芸術科学アカデミー ハーヴェイ・ワインスタイン氏を追放

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14日、映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences、AMPAS)は、セクハラ疑惑の映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン氏(Harvey Weinstein)を、映画芸術科学アカデミーより即時追放すると発表した。

ニューヨークタイムズや、ニューヨーカーのセクハラ疑惑に対する一連の報道を受け、ワインスタイン氏の処分を決定するための緊急会議が開かれた。

NYタイムズによると、投票は54人のボードメンバーにより行われ、決定に必要とされた3分の2の大多数を超えたとしている。声明では、「仲間から敬意を払われないような人物を引き離すだけでなく、身勝手で無知、性的なプレデターのような振る舞いに対する恥ずべき共謀、映画産業における職場でのハラスメントの時代は終わったというメッセージを送るため」としている。また、倫理的な行動基準を制定すると発表した。

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NYタイムズによると、今回の異例の決定を受け、約8,400人のアカデミー会員は衝撃を受けているという。
ロマン・ポランスキー(Roman Polanski)監督の13歳の少女による性犯罪(有罪事件)や、コメディアンのビル・コスビー(Bill Cosby)による性犯罪、メル・ギブソン(Mel Gibson)が2006年の飲酒運転で行ったユダヤ人への差別発言や2011年のガールフレンドに対するDV疑惑などには、アカデミー協会は今回のような対応を行っていない。

英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)は、ワインスタイン氏の会員資格を停止している。

ワインスタイン氏によるセクハラ事件報道の流れ

10月5日、ニューヨークタイムズ紙は、ワインスタイン氏の30年以上にわたり繰り返されたセクハラ行為の記事を掲載。女優のアシュレイ・ジャッドさん(Ashley Judd)やローズ・マッゴーワン(Rose McGowan)さん、元従業員や元従業員へのインタビューを掲載し、少なくとも8人の女性に対して、和解金が支払われたと報道した。記事の中に、イタリア人モデルのアンブラさんの事件も含まれている。

ワインスタイン氏は、セクハラの事実を認め謝罪するも、NYタイムズの記事は噂を元に書かれたもので、法的措置を取ると発表。

NYタイムズの報道後、ワインスタインカンパニーの役員は緊急会議を開き、ワインスタイン氏は会社の規約に違反したとして、メールで同氏の解雇を通知した。

NYタイムズは、10日、女優のグウィネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)さんや、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)さんのインタビューを掲載。
記事では、グウィネス・パルトローさんは、1996年映画「エマ」の主役に抜擢された後に、アンジェリーナ・ジョリーさんは1990年代後半に映画公開の際にホテルに呼び出され、セクハラ行為を迫られたという。

同日、ニューヨーカー誌は、ワインスタイン氏よりセクハラを受けた13名の証言と共に、NYPDより入手した音声テープのやりとりを公開した。
被害を受けた中には、女優のアーシア・アルジェントさん(Asia Argento)やルシア・エバンスさん(Lucia Evans)、ミラ・ソルヴィノ(Mira Sorvino)さんなどが含まれる。

ワインスティーン氏の妻、ジョージーナ・チャップマンさん(Georgina Chapman)は離婚を発表。

その後も、女優のカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)や、レア・セドゥさん(Léa Seydoux)は、突然キスされるなどのセクハラを行われたと被害を訴える人が相次いでいる。

ニューヨーク市警察 ワインスタイン氏セクハラ事件を調査へ