「王室は人種差別主義ではない」ヘンリー王子の突然の主張に非難殺到

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8日に英国で放送されたITVのインタビューで、ヘンリー王子は、メーガン妃や子供が王室で人種差別を受けたというのは、英国メディアが作り上げたストーリーだと主張。予期せぬ発言に、メディア関係者やネットで、非難や困惑の声が広がっている。

10日に回顧録「スペア」の発売を控えるヘンリー王子は、司会者のトム・ブラッドビー氏から、2021年のオプラ・ウィンフリーとのインタビューで、「あなたは王室メンバーの人種差別主義について非難しましたが」とふられると、首を振りながら「いいえ、私はしていない。英国のメディアがそう言ったのだ」と笑みを浮かべながら回答。「メーガンが、彼らが人種差別的だと言ったことがあったか?」と聞き返した。

司会者が「彼女は、アーチーの肌について、問題発言があったと話した」と続けると、ヘンリー王子は「肌の色に対する懸念があった」と回答し、さらに「あなたは、人種差別だとみなしているのですよね」と再度問われると、「いいえ、そのような家族ではないので、そうは思わない」と改めて否定した。

その後ヘンリー王子の話は、人種差別の定義に。「人種差別と無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)には違いがある」と述べたほか、両者の違いについて「自分の中にある無意識の偏見を認識し、そこから学び、成長することで、その解決法の一部となる機会が得られる。それができなければ、人種差別の部類に入る」と自分なりの考えを示した。

人種差別とは言ってない?

メーガン インタビュー
©CBS

2021年に米国で放送された特別番組では、司会のオプラが、アーチーちゃんに「王子」の称号が与えられない理由は、「人種」のせいかと尋ねると、メーガン妃は、「彼には称号と警護が与えられないという話と、生まれてくる子供の肌の色が、どれくらい黒いかという”懸念”と会話があった」と明かした。これを聞いたオプラは、大きなショックを受けた様子で「なんて?誰がそんな会話をしたの?」と尋ね、続けて「彼らが、肌が黒すぎることを懸念しているのか?どこか問題なのか?」と追求すると、メーガン妃は「あなたがそう推測するなら、まず間違いない」と述べた上で、「極めて理解し難いものだ」とオプラの発言に同意を示す形で回答した。肌の色の発言をした人物については、「彼らにダメージを与えることになる」と名前を明かさなかった。

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米国では、1,700万人以上が視聴。2人は人種差別の存在を直接的に認める発言はしていないものの、放送後、王室に対する非難が殺到した。テニスのセリーナ・ウィリアムズ選手や、黒人の若手詩人アマンダ・ゴーマン、キング牧師を父に持つ人権活動家バーニス・キング、映画監督のマイケル・ムーアなども非難の声に加わり、メーガン妃への支持を表明した

ただし、王子が「王室の人種差別説を、英国メディアが作り出したストーリー」と主張したのは初めてで、ネットユーザーやメディアからは困惑や批判の声が相次いだ。

「ブラッドビーも私たちと同じくらい困惑しているようだ」

メーガン妃への発言を巡って、レギュラー番組を降板した大物司会者ピアース・モーガン氏は、「彼はついに人種差別がなかったことを認めた。2つ質問、a)昔の仕事に復帰できる?b)なぜ彼らの言うことを信じなければならないの?」と疑問を投げかけた。

王室エディターのロバート・ジョンソン氏は、夫妻が昨年「構造的な人種差別」に立ち向かったとして、ロバート・F・ケネディ人権団体から「リップル・オブ・ホープ」賞を授与したことを挙げ、2人は「賞を返還するべきでは?」とツイートした。

BBCの王室特派員ジェニー・ボンドはITVの番組で、2人が「人種差別主義」という言葉を一度も使用しなかったのは「正しかった」としつつも、「王室が人種差別という非難にさらされ、困難な状況に置かれるのを放置した」と指摘し、「許されない」と非難した。