総工費1.5兆円 マンハッタンの新たな駅「グランド・セントラル・マディソン」本日全面開通

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先月誕生したグランド・セントラル・マディソン駅よりマンハッタンとクイーンズ、ブルックリン、ロングアイランドを結ぶLIRR(ロングアイランド鉄道)が全面開通となった。1月25日からジャマイカ-当駅間のシャトル便を運行していたが、各駅からのマンハッタンへのアクセスがより便利になった。通勤客に加えて、JFKからグラセン近くに向かう手荷物の多い旅行者にとっても、スムーズな移動に役立ちそうだ。

2008年から着工し、111億ドル(1.5兆円)ものコストをかけたニューヨークのビッグロジェクト。グランド・セントラル・ターミナルの地下深くに広がる東京ドーム1.4個分(面積700,000平方フィート)の新ターミナルを歩いてみた。

駅は南北に走るコンコース、メザニンレベル、プラットフォームで構成され、アクセスポイントは合計9つ。地上からアクセスする入口が5つ、グランド・セントラル・ターミナル駅もしくはメトロノースや地下鉄からアクセスする入口が4つある。

グランド・セントラル・ターミナル駅地下にあるダイニングコンコースから入ってみた。

Miku Takahara

エレベーターを使い、早速降りる。「To Tickeing and Cusomer Servie LIRR TRACK~」と看板があり、この先を進めばよいことがわかる。

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電光掲示板や地図も至るところにあり、迷わず進める。ショップやレストランがオープンしていないため閑散としているが、いずれは25店舗がオープンするという。レストラン、アパレルショップ、コンビニなどが入るようだ。

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グランド・セントラル・マディソンの見どころの1つが「アート」。所々に新進気鋭のアーティストの作品が飾られている。

最初に目に飛び込んできたのがニューヨークをベースに活動する芸術家ポール・ファイファーの作品「Da Gold Man」。ニューヨークのストリートパフォーマーを題材にしたインパクトのある写真だ。

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次は話題のキキ・スミスによるガラスモザイク。今年69歳を迎えたキキはドイツで生まれ、ニュージャージー州で幼少期を過ごした。今はニューヨークで活動している。動物や植物をモチーフに自然を通して、人間の本質に迫るアーティストだ。ターミナル内には5つの作品が飾られており、全てロングアイランドの静かな自然の風景や動物を描写したものだそうだ。入口にある「River Light」はイーストリバーの表面に輝く太陽の光を表している。その長さはなんと24m。

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すでに1時間が経過しようとしている。ちなみに綺麗なトイレもあり、旅行者にとっては重宝するかもしれない。

エスカレーターに乗ってメザニンレベルへ。

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エスカレーターの全長は約55mで、ニューヨークの地下鉄システムの中でも最も長いのだそうだ。地元メディアでもすでに使用している人たちが「今までに見たことのないエスカレーターだ!」とインタビューに答えている様子が放映されていた。

エスカレーターの正面や両面には絵画が描かれており、1つ1つに意味があるようだ。正面に描かれた米国の国鳥であるハクトウワシ。

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メインコンコース内は45thストリート〜48thストリートに区切られており、この長いエスカレーターが4箇所に設置されている。

ちなみに先ほど紹介したキキ・スミスの残り4つのガラスモザイク、オノ・ヨーコら著名人によるニューヨークへのメッセージなどが飾られているのは、エスカレーターを降りた地点にあるこのメザニンレベル。

メザニンは白を基調とした空間を、ブルーやパープルなどの柔らかいライトが照らす。

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キキ・スミスの自然をテーマとしたガラスモザイクは、鑑賞する場所や光のあたり方によって色彩が異なって見える。観光客らしき人々もおり、離れてみたり近くに行ったりと私含めじっくりと見ている。

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壁一面に飾られた著名人によるニューヨークへのメッセージ。写真は、オノ・ヨーコさんによるもの。

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肝心のプラットフォームは、メザニンからさらに一段下がったところにある。

©MashupReporter

再びコンコースへ。46thストリートと47thストリートの中間にカスタマーセンターがある。

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こちらは草間彌生さんの作品「A Message of Love, Directly from My Heart unto the Universe」。高さ2m、幅約37mの巨大作品で、水玉模様や太陽をモチーフにした迫力ある草間ワールドが広がる。

47thストリート付近に設置された映像アート。学生による作品だそうだ。

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全部見て回ると日が暮れそうだ。最後はグランドセントラルターミナルに戻り、お土産ショップとしても人気の「New York Transit Museum」を訪れた。トンネル工事現場の写真などが展示されており、この駅にどれだけの労力が費やされたのか垣間見ることができた。

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気がつくと3時間が経過していた。あっという間だった。ニューヨークを代表する歴史的建造物、グランドセントラルターミナルを観光に訪れる方も多いだろう。次回の旅行の際は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。

(取材:Miku Takahara)