2019年までQアノンを信じていたというオーストラリア在住のJitarth Jadejaさんは、CNNの番組で、キャスターのアンダーソン・クーパー氏が子供を食べていると信じていたと語った。
クーパー氏から「あなたは当時、民主党指導部やセレブが悪魔を崇拝して、子供の血を飲んでいると信じていたのか」と聞かれると、Jadejaさんは「あなたがそうしていたと考えていた。これについては今すぐに謝りたい。あなたが子供を食べていると思って申し訳なかった」と謝罪。「本当に私が子供の血を飲んでいると思っていたのか?」と念を押すクーパー氏に、「はい。そうだ」と答えた。
Jadejaさんは、話を信じるに至った理由について、Qが早い段階でクーパー氏に言及していたからだと説明。現在でもQアノンを信じる人々の間では、同様の会話が続いていて、つい最近もクーパー氏がロボットだと主張する投稿があったと語った。
さらに、一時は、Qが軍の諜報機関の一部であるだけでなく、「5次元、次元間、地球外生命の集団、ブルーアビアンと呼ばれる宇宙人」がQの背後にいると信じていたと話した。
「陰謀論のブラックホールの奥深くまで行ってしまって、自分が信じたいと思う話がどんなものであれ、基本的にすくい上げることができた」と語った。
Qアノンは、2017年に「Q」を名乗る匿名の人物による掲示板の投稿から始まった陰謀論。闇の政府(ディープステート)の政治家やハリウッドのセレブリティが、大規模な児童買春ネットワークに関与し、この中で、悪魔的儀式の対象となり性的虐待を受けた子供から得られるアンチエイジングの化学物質を入手しているなどと主張している。トランプ氏はディープステートとの戦いを密かに主導しており、犯罪に関与する政府高官らを大量に逮捕または処刑する裁きの日(ストーム)を計画しているなどと考えられている。
Jadejaさんは昨年10月、ワシントンポスト紙のインタビューで、Qアノンにのめり込む最初のきっかけは2017年12月に極右活動家で陰謀論者のアレックス・ジョーンズ氏のラジオ番組を聴いたことだったと話していた。
この時、ラジオのゲストらは「calm before the storm(ストームの前の静けさ)」について話していたという。
Jadejaさんはインタビュー中、地球平面説やセレブの一部は変幻自在なレプティリアンだとする説など「すべての陰謀説は、聴いたことがないものも含めて、どういうわけかQ運動の一部だった」とQアノンの特徴について語り、「Qの大統一理論」に収まっていたと答えていた。
また、支持者の間では、すべては、米国で戒厳がしかれる時にヤマ場を迎え、小児愛者や子供を食べる者、トカゲ人間が捉えられ、殺害されると考えられていたと話した。
Qアノンを信じ続けた人々の間では、1月20日のバイデン氏の就任式にトランプ大統領が戒厳令を発令して、民主党員を処刑するといったデマが広がっていた。
AP通信によると、Telegramで18日、ジョン・ハイテン(John Hyten)統合参謀本部副議長の偽チャンネルが作られ、一晩で登録者が20万人に到達した。
チャンネルの投稿は、緊急放送や緊急警報システムが使用される可能性をほのめかしており、トランプ氏が緊急警報や反乱法を発動して就任式が中断するといった偽情報に類似した内容だっという。また複数の投稿には「great awakening」や「storm」「nothing can stop what is coming」といった、Qアノンサポーターの間でポピュラーな標語が含まれていたと伝えている。
NBCニュースも、就任式当日にトランプ氏が戒厳令を発動したり、全国的な停電が発生したりするなど、根拠不明なデマが拡散されていたと伝えていた。同局のインタビューに答えたある女性は、弟からアマチュア無線を買うように連絡があったと語った。弟は、トランプ氏が計画を実行に移すと、停電が起きて通常の電話が使用不可能になると説明。アマチュア無線が数少ない連絡手段だと話したという。