「ディズニーキャラみたい」訪日のデサンティス知事 記者の鋭い質問に動揺か、ネットでツッコミ

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来年の米大統領選には未出馬ながら、共和党の有力候補と目されているフロリダ州のロン・デサンティス知事が24日訪日し、首相官邸で岸田首相と会見した。その後の囲み会見で、米記者から手厳しい質問を受けたデサンティス氏の反応が滑稽とネットで注目を集めている。

世論調査ではトランプ氏と二分する支持を獲得していたデサンティス氏だが、最近はトランプ氏に大きく後れをとっている。昨年11月、再選をかけたフロリダ州知事選で大勝して以来共和党で順調に支持を獲得し、昨年12月時点のウォール・ストリート・ジャーナルの調査では、トランプ氏に14ポイント差でリードしていた。ところが、最新の調査ではトランプ氏の支持率51%に対し、デサンティス氏は38%と、13ポイント差で逆転されている。

支持率の伸び悩みに加え、先週にはフロリダ州選出の連邦下院議員の大半がトランプ氏の支持に回るという憂き目にも遭っていた。ちょうど自身が6年間連邦下院議員として過ごしたワシントンDCを訪問中のことで、皮肉に皮肉が重なる形となった。

24日、岸田首相との会談後の囲み会見で、ウォール・ストリート・ジャーナルの記者に支持率の伸び悩みを指摘されると、デサンティス氏の表情が一変。目を見開き引きつった笑顔を浮かべ、頭を小刻みに振りながら「私は立候補者じゃない。だからこれがどう変わるか今後次第だ」と答えた。

普段物事に動じる様子を見せることのないデサンティス氏のあからさまに動揺した表情はツイッターで話題を呼び「顔、どうしたの?」「怖い」「どうかしちゃった?それとも普段からこうなの?」「トランプからのニックネーム、首振り人形で決まりだね」などのコメントが殺到。優遇措置の剥奪をめぐるディズニーとフロリダ州との係争をネタに「ディズニーのキャラクターみたい」「ディズニーワールドにいるロボットみたい」とからかう声もあった。自分は立候補者じゃない、という発言に注目し「立候補者じゃないのになんで日本に行くの?」「私は立候補者じゃない。ただふりをしているだけだ」「ずっと立候補者じゃないままでいてほしい」などのコメントもあふれた。

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デサンティス氏、出馬はやはり確実

伸び悩んでいるとは言え、世論調査でデサンティス氏は未だ共和党の他の候補者の追随を許さず、トランプ氏に次ぐ人気を維持している。24日現在、共和党から出馬表明したのはトランプ氏以外にエイサ・ハチンソン元アーカーンソー州知事、IT起業家のビベック・ラマスワミ氏、ニッキーヘイリー元国連大使の3人。このほか、ティム・スコット米上院議員(サウスカロライナ州選出)は出馬に向け準備委員会を立ち上げ、マイク・ペンス前副大統領も近く出馬を表明するとされている。

24日の岸田首相との会見の席でデサンティス氏は「日本は我々の大事な同盟国だ。強い日本はアメリカにとって良いことだし、強いアメリカは日本にとって良いことだ」と日米の友好関係、とりわけ日本の防衛力強化を評価した。日本の次は韓国、イスラエル、英国を訪問する。これまで外交について目立った実績がなかったが、今回の外国訪問でそれを払拭したい考えと見られる。

来週にはフロリダに戻って州の予算案の策定を行い、その2週間後に今会期を終える。その頃、デサンティス氏は本格的に大統領選に参戦するのではと予想されている。

支持率低迷の要因「長く引っ張りすぎた」との指摘も

会期を終えてからの出馬表明では遅すぎたという指摘も少なくない。AP通信によると、立候補までに時間を掛けすぎたとの懸念が身内からも出ているという。その間にトランプ氏は起訴され、それを機に支持者の結束を強めた。また「食事のマナーが悪い」「連邦議員時代に国民の公的扶助を奪う側に賛成した」などとトランプ氏が繰り返しデサンティス氏を攻撃したことで、デサンティス氏のイメージダウンにもつながったという。

献金者からは極右寄りの姿勢を懸念する声もある。妊娠中絶の全面禁止や、特定の内容の書物を公立校から撤去するなどといったフロリダ州の政策は強硬すぎると指摘されたほか、ディズニーとの対立には、大企業と良好な関係を維持したい身内の共和党からも異論が出ている。

最近、トランプ氏への攻撃体制に転じたことも、支持低迷の要因と見られる。以前はトランプ氏からの攻撃に相手にしない態度を決め込んでいたが、トランプ氏の起訴に関するコメントでは「ポルノスターに口止め料を払って不倫の事実をもみ消すなど、私には理解できない」と皮肉を述べていた。