フロリダ州知事「秘密兵器」妻ケイシー・デサンティスとは

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米中間選挙で共和党が苦戦するなか、フロリダ州のロン・デサンティス知事(44)は、民主党の対立候補に19ポイントの大差をつけ、再戦を果たした。

Foxニュースなどの保守系メディアは、トランプ氏に代わる”新たな共和党のリーダー”と称賛しており、早くも2024年の大統領選への出馬が期待されている。デサンティス氏とともに、下院議員時代から夫の活動を支えてきた妻ケイシー・デサンティスさん(42)にも注目が集まっている。

ケイシーさんは8日、タンパで行われた祝賀パーティーで、ハリウッドスターを彷彿とさせるイエローとゴールドのゴージャスなドレス姿で壇上に上がり、3人の子供たちと勝利を祝った。

ニューヨークポスト紙は、ケイシーさんについて、フロリダの「ワンダーウーマン」的な存在だと説明。デサンティス氏の「政治的な運勢を向上させる際にイメージ戦略の采配を担う、半ば公然の秘密兵器」と伝えた

地元の政治メディアFlorida Politicsの発行人、ピーター・ショルシュ氏はポスト紙のインタビューに、「ステージの中心で、いつものように輝いていた」と絶賛。一家はメディアや公共の場に出る機会も多く、大勢の前でも落ち着き、リラックスしているとし、「恐縮ではあるが、ケネディ家を彷彿とさせる」と語った。

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出会いはゴルフ場

ケイシーさん(本名、ジル・ケイシー・ブラック)は1980年、オハイオ州で生まれた。趣味はゴルフと乗馬。サウスカロライナ州のチャールストン大学で経済学を専攻し、卒業後はフロリダ州ジャクソンビルのテレビ局WJXTのキャスターを務めた。

フロリダ州出身のデサンティス氏は、イェール大学を卒業後、ハーバード・ロースクールに進学。2004年に海軍に入隊し、SEAL(米海軍特殊部隊)のチーム・ワンで法律顧問を務めたのち、2007年にイラクに駐留した。翌年帰国し、司法省から連邦検事補に任命された。

2人はデサンティス氏が海軍に所属していた当時、北フロリダ大学のゴルフ練習場で出会った。ケイシーさんは2018年のインタビューで、振り返ってボールの入ったバケツを見ていたところ、デサンティス氏が自分を見ていると勘違いしたことが会話のきっかけだったという。ケイシーさんは「スイングが本当にひどくて、もっと練習したいと思っていた」「私は誰かが置き忘れたボールを見ていただけ」と振り返った。

出会いから半年後に婚約し、2009年9月に結婚。披露宴は、ディズニーワールドにある「エプコット」で行った。なお、デサンティス氏は今年、小学校でLGBTQに関する話題を禁じる新法「Don’t Say Gay」に反対したディズニーに対し、”自治権”を廃止する法案に署名している。

結婚から3年後の2012年、デサンティス氏はフロリダ州第6区から連邦下院議員選に出馬し、初当選した。2014年と2016年に再選を果たした。

ケイシーさんも政界入りの時点から選挙活動に積極的に関わっている。

2018年のフロリダ州知事選の予備選挙では、キャンペーン広告に2人の子供たちを登場させた。ケイシーさんがナレーションで、トランプ氏からエンドースを受けたと語り、デサンティス氏が子供とブロックで「壁」を作ったり、トランプ氏の自伝「アート・オブ・ザ・ディール」を読み聞かせするシーンなどが含まれる。当選後、州議会議事堂には、ケイシーさんの職務室も設けられたという。

ケイシーさんは昨年乳がんを患い、闘病生活を送っていた。現在は完治している。中間選挙用に公開したCMでは、ジーンズ姿のカジュアルな服装で登場し「私が人生をかけて戦っているとき、子供たちを世話してくれる父親だった」「立ち上がれなくなったとき、そばで支え、私のために戦ってくれた」と人となりを紹介した。

先のショルシュ氏は、CMはデサンティス氏に対する「ラブレター」だと述べ、ケイシーさんのメディアの活用手法を称賛している。

また今年大ヒットした映画「トップガン マーベリック」のパロディ「TOP GUV」を制作し、話題となった。トム・クルーズ風のデサンティス氏が登場し、メディアとの「空中戦」を繰り広げるCMは、元々はケイシーさんのアイデアという。

今年9月、大型ハリケーン「イアン」がフロリダ州を直撃した際には、被災者支援を主導。デサンティス氏から被災者救済基金の責任者に任命され、4,500万ドルの救援金を集めた。