FBI ナッシュビル爆発事件 陰謀論、偏執症が引き金に、テロの可能性否定

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連邦捜査局(FBI)は15日、昨年クリスマスの早朝にテネシー州ナッシュビルで起きたキャンピングカー爆発事件の捜査の大部分を終えたとした上で、爆発は犯人のアンソニー・クイン・ワーナー(63)による自殺行為で、テロではないと発表した。

FBIは声明で「偏執症や、複数の奇妙な陰謀論から取り入れた個人的な信念、心の支えの喪失、対人関係の悪化」によって引き起こされた、自殺をはかるための「意図的な行為」と断定したと説明。社会や政治変革といったイデオロギーに基づいた動機や、特定の個人や組織に対する個人的な不満は見当たらないとした。

爆発の場所とタイミングは、衝撃を与えつつも、不必要な怪我を抑えるように選ばれたとしている。

犯行に使用されたRV image via Nashville PD twitter

キャンピングカーは午前6:30頃に爆発した。ナッシュビル警察によると、爆発の直前、車から爆発を警告する録音音声のほか、60年代ペトゥラ・クラークの60年代のヒット曲「恋するダウンタウン」が流れていた。

事件後まもなく、現場近くにあるAT&Tの建物を狙った可能性について捜査が進められていると報じられた。地元テレビ局は、5G技術によってアメリカ人がスパイされているなど、ワーナーが妄想を抱いていなかったか捜査していると伝えた。またワーナーと仕事上のつながりがあった地元の不動産エージェントは、同局の取材に、ワーナーが5G技術について偏執していなかったか、捜査官から尋ねられたと明かした。

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爆発によって、テネシー州全域のAT&Tネットワークが破壊され、ケンタッキー州とアラバマ州の一部にも影響が及んだ。住宅用電話と携帯電話、911のコールセンター20箇所が破壊され、ビジネスと政府の機能が妨げられるなどの被害が出た。事件後まもなく、テネシー州のビル・リー知事(共和党)は、爆発による被害が甚大で、州単体で対応することは不可能だとして、トランプ大統領に政府による支援を求めた。

Metro Nashville PD Twitter

NBCニュースによると、FBIの報道官は、爆発場所の選択とAT&Tビルの関連を示すものは見つからなかったと述べている。

今年に入り、ワーナーが事件の2日前、知人に宛てた手紙で、9/11同時多発テロ事件や陰謀説や、UFOやトカゲ人間が地球を支配するといった話しをしていたことが明るみに出た。

このほか、昨年まで実母と家の所有権を巡る係争が続いていたことや、親戚や近所と付き合わず、孤立した生活を送っていたと報じられていた。

なお、爆発事件の1年以上前に、交際相手が、ワーナーがキャンピングカーで爆弾を製造していると警察に話していたことが、警察の報告書から判明している。この時、警察はワーナーの家を訪問するなどしたが、結果的に本人に事情を聴取せず、キャンピングカーについても検査をしなかった。

USA Todayによると、現在、ナッシュビル警察の対応に関する複数の調査が進行している。市議会や地域のリーダーは、この時の対応について、警察が積極的でなかったと非難している。

ソースFBI