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9歳の少年が意識不明 家族がトラビス・スコットを提訴

5日、テキサス州ヒューストンで行われた野外フェスティバルの最中に観客が殺到し、死者や大勢の負傷者を出した事故で、現在9歳の男の子が重体に陥っていることが分かった。

男の子の名前はエズラ・ブラント(Ezra Blount)くん。これまで報じられた中で、最も幼い被害者となる。家族は、主催者のトラビス・スコットやライブネーション、カクタスジャックレコーズ、会場となったNRGパークらに対し、損害賠償を求める訴訟を、ハリス郡の裁判所に提起した。現在クラウドファンディングサイトのGofundmeで、募金を募るキャンペーンが立ち上げられている。

エズラくんはこの日、父親と一緒にライブに参加していた。Gofundmeによると、父親のトレストンさんは、肩に息子を乗せ、トラビス・スコットの登場を待っていたと説明。その後、観客が殺到し「息ができなくなるまで押しつぶされ、意識を失った。気がつくと、息子がいなかった」と述べている。

エズラくんは、他の観客に踏みつけられ「肝臓や腎臓、脳などにひどい損傷」を受けた。現在、生命維持装置が取り付けられ、医療的に昏睡状態に置かれているという。

代理人は、著名な人権弁護士のベン・クランプ氏が引き受けた。ジョージ・フロイド殺人事件の代理人をつとめた同氏は、被告が「参加者の健康や安全、生命を守る義務を著しく怠り」、重大な過失があったと主張。100万ドル以上の損害賠償を求めている。なおクランプ氏は、21歳の被害者、ノア・グッチレス(Noah Gutierrez)さんの代理もつとめている。

今回の事故では、コンサート中に少なくとも8人が死亡、300人以上が負傷した。Viceによると、既に40人以上の被害者が訴えを起こしており、その数は今後も膨らむことが予想されている。

事故の経緯

事件は5日夜、「アストロワールド・フェスティバル」(Astroworld Festival)のオープニングナイトで起きた。

フェスティバルが始まったのは2018年、トラビス・スコットの3枚目のスタジオアルバム「Astroworld」がリリースされた直後だった。
昨年は、コロナウイルスのため中止された。今年のチケットは完売し、初日は5万人以上の観客を動員していた。ライブは生中継されており、ラッパーのドレイクもスペシャルゲストとして、飛び入り参加した。

ヒューストン消防局の発表によると、事故が起きたのは午後9時15分ごろ。フロントステージに大勢の観客が殺到し、「パニックが生じた」という。この後もコンサートは続いたが、複数人が負傷した事態を受け、10時過ぎに中止された。

犠牲者は?

シルヴェスター・ターナー市長の発表によると、死亡者の年齢は10代の2人を含む14歳から27歳。負傷者25人が病院に搬送され、このうち11人に心配蘇生が施された。検視結果は、まだ発表されていない。

地元テレビ局は、兄弟や親戚と一緒にライブに参加していたテキサスA&M大学の女子学生バーティ・シャハニ(Bharti Shahani)さん(22)は、脳死状態にあると報じている

犯罪捜査も

ヒューストン市警察と消防局は6日、犯罪捜査を開始すると発表した。トロイ・フィナー警察署長は会見で、警備員の1人が、針でドラッグを注射された可能性があるという報告を受けたと話した。

消防局のサミュエル・ペーニャ(Samuel Peña)消防署長は9日、NBCニュースの情報番組「Today」に出演し、トラビス・スコットは、最初のトラブルが生じた際、コンサートを中止することも可能だったと指摘している。

コンサートでは開始直後から観客が倒れ、救急車が呼ばれていた。ライブ映像には、緊急車両が観客の中に分け入る様子が映っている。この時、トラビス・スコットは歌うのを止め、「救急車だ。何があった?」などとステージ上から観客に訪ねていた。その後、まもなくしてライブを再開した。

SNSには、観客がスタッフにコンサートを中止するよう繰り返し叫ぶ姿や、救急隊員が心肺蘇生を施すなど会場の混乱する様子を撮影した動画が多数投稿されている。

ペーニャ氏は番組中、「彼は客を見渡していた」と述べ、「もし何か起きているのに気付いたら、パフォーマンスをいったん止めて、ライトをつけ、問題が解決するまで、続行しないことも可能だ」と述べた。トラビス・スコットが、状況を把握していたかどうかについては不明だと話した。

声明を発表

トラビス・スコットは6日、SNSで声明を発表。「大きなショックで打ちのめされている」と述べ、遺族や負傷者に祈りを捧げると話し、捜査当局に全面的に協力する姿勢を示した。その後、

その後もストーリーズの投稿で、遺族への追悼を示し「状況の深刻さを理解していなかった」「これが起きるのは想像していなかった。打ちのめされている」と落ち込んだ様子で語った。

8日には、犠牲者の葬儀費用を負担すると声明で発表した。またBetterHelpを通じて、無料のメンタルヘルスサービスなども提供するとしている。

主催企業のライブネーションは、中止となった2日間のチケット代金を全額払い戻しすると発表した。

コンサートに訪れていたスコット・トラビスのパートナー、カイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)は、インスタグラムの投稿で「われわれはショーの後、ニュースで報じられるまで、死者が出ていることを知らなかった」とトラビス・スコットを擁護する発言を行った。

しかしながら、カイリー・ジェンナーは救急車が入る様子をストーリーズに投稿しており、SNSでは状況を把握していなかった主張は嘘だと非難の声が上がった。この後、カイリー・ジェンナーは投稿を削除している。

コンサートに飛び入り参加したドレイクも8日夜に声明を発表。「心が引き裂かれる思いだ」と述べ、「あらゆる方法で、可能な限り支援する」と語った。

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