第69回エミー賞ハイライトまとめ

9月17日(日)ロサンゼルスのマイクロソフトシアターにて、第69回エミー賞(Emmy Awards)が開催され、CBSでオンエアされた。

22部門にノミネートされたNBCの深夜コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」や、ニコール・キッドマンとリース・ウィザースプーンが主演を務めるHBOドラマ「ビッグ・リトル・ライズ~セレブママたちの憂うつ」、エリザベス・モス主演のHuluドラマ「ザ・ハンドメイズ・テイル(侍女の物語)」(The Handmaid’s Tale)がビッグウィナーを勝ち取った。

今回ホストを務めたスティーヴン・コルベア(Stephen Colbert)は、オープニングから政治色全開でスタート。女性やアフリカ系アメリカ人のスタッフ・キャストらの初受賞など、話題が盛りだくんさのエミー賞ハイライトを一挙紹介する。

ホワイトハウス前報道官がカメオで登場

スティーヴン・コルベアは、「Everything is Better on TV」(現実社会で起こっていることはひどくて、TVの中の世界の方がましさ)を歌いながら登場。トランプ大統領に「見てくれてありがとう。ツイッター楽しみにしてるよ。」と呼び掛けた。

続いて「トランプ氏が(リアリティ番組に出演していた時代に)エミー賞を受賞していれば、大統領に立候補しなかったに違いない。」と述べ、「エミー賞は、大統領選とは違って、ポピュラーボート(実際の投票数)で決まるんだ。誰か、このエミー賞の観客がどれくらいか知ってる? ショーン?」尋ねると、舞台袖から、ホワイトハウス元報道官のショーン・スパイサー氏が壇を押しながら登場。会場のゲストを驚かせた。

スパイサーは、「このショーは、最も多くの人が来場したエミー賞になるだろう。ピリオド!」と力強く言い放った。
これは、スパイサー語録の一つ、報道官の就任初日に「大統領就任式に参加した人数は過去最大だった。ピリオド」を自らパロディにしたもの。コルベアは、スパイサーを(SNLでモノマネをしていた)「メリッサ・マッカーシーでした!」と紹介した。

スパイサー元報道官、SNLの世界に?

サタデー・ナイト・ライブ(SNL)が大勝利

22部門にノミネートされたSNLは、トランプ役のアレック・ボールドウィン(Alec Baldwin)ほか、ケイト・マッキノン(Kate McKinnon)、エグゼクティブ・プロデューサーのローン・マイケルズ(Lorne Michaels)らが9部門を受賞した。

ケイト・マッキノンは、コメディ部門の助演女優賞(supporting actress in a comedy)を受賞。スピーチでは、マッキノンが演じていたヒラリー・クリントンにお礼を述べるシーンも。


マッキノンは、SNLのスキットで、大統領顧問のケリーアン・コンウェイや、司法長官のジェフ・セッション、教育長官のベッツィ・デヴォスなども演じている。

アレック・ボールドウィンは、トランプ役でコメディ部門助演男優賞を受賞。スピーチでは、「大統領、ついに、あなたのエミー賞を受賞しましたよ」とトランプ大統領に呼びかけけ、笑いを誘った。また「議会の法案や、大統領の言葉は覚えていないかもしれないけれど、歌や台詞、劇、本、絵画、詩は、人々の記憶に残っていくものです。あなたがやっていることを止めないでください。観客は期待しています。」と業界にエールを送った。

SNLは、バラエティ部門のスケッチ賞(best variety sketch series)を受賞。SNLが初めてエミー賞を受賞したのは、プレミアシーズンが始まった1976年。エグゼクティブ・プロデューサーのローン・マイケルズは、「当時は、もうこれ以上クレイジーで、予測不可能で、スカッとすることはないかと思ったけど、私は間違っていたようだ。」昔を振り返りながら、喜びを語った。

トランプ政権誕生により激戦部門となったトーク部門は、「Last Week Tonight With John Oliver」のジョン・オリバー(John Oliver)が受賞。同番組は、バラエティシリーズの脚本賞も受賞している。

アカデミー賞女優がタッグを組んだビッグ・リトル・ライズ

HBOの「ビッグ・リトル・ライズ~セレブママたちの憂うつ」は、ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)や、リース・ウィザースプーン(Reese Witherspoon)、ローラ・ダーン(Laura Dern)など映画界でお馴染みの女優たちが出演したドラマ。
リミティッドシリーズで、作品賞ほか、監督賞(ジャン=マルク・ヴァレ)、主演女優賞(ニコール・キッドマン)、助演女優賞(ローラ・ダーン)など8部門で受賞した。

スーザン・サランドンなどがノミネートされた激戦の主演女優賞部門を制したのは、ニコール・キッドマン。今回が初のエミー賞受賞となる。同部門でノミネートされていたリース・ウィザースプーン(Reese Witherspoon)に対して、「あなたなしでは、この賞は受賞できませんでした。この賞を分かち合いたいと思います。」と称えた。また、ドラマで描かれている家庭内暴力(DV)について触れ、「これは複雑で陰湿な病気のようなもので、私たちが思っている以上に多く存在しています。」とし、このドラマが家庭内暴力への問題提起となればと、スピーチで語った。

監督賞受賞のジャン=マルク・ヴァレ(Jean-Marc Vallée)。

ザ・ハンドメイズ・テイル(侍女の物語)

女性が性奴隷にされるマーガレット・アトウッド原作の問題作をドラマ化したHuluの「ザ・ハンドメイズ・テイル (侍女の物語)」 (The Handmaid’s Tale)。ドラマシリーズ部門で13ノミネートのうち、監督賞(リード・モラノ)、主演女優賞(エリザベス・モス)、助演女優賞(アン・ダウド)、脚本賞(ブルース・ミラー)を含む全8部門を受賞した。

監督賞を受賞した女性監督のリード・モラノ(Reed Morano) 。

「マッドメン」(Mad Men)でおなじみのエリザベス・モス(Elisabeth Moss)は、主演女優賞を受賞。「マッドメン」でノミネートはあったが、今回が初の受賞となる。
スピーチでは、勢いあまって、Fワードで締めくくってしまう場面も。

ジュリア・ルイス=ドレイファスは記録達成

ジュリア・ルイス=ドレイファス(Julia Louis-Dreyfus)は、ホワイトハウスを舞台としたHBOのコメディ『Veep/ヴィープ』(Veep)で、コメディ部門の主演女優賞を受賞。同シリーズの同じ役柄では、6度目の受賞となり新記録を達成している。
プロデュースも務めているドレイファスは、「ファイナルシーズンでは、弾劾裁判というストーリーも考えたけどやめたわ。誰かの方が先にそうなるかも、というのも考慮しました。」と、冗談を言った。『Veep/ヴィープ』はコメディ部門の作品賞も受賞している。

新しい作品にも注目が集まる

ヒップホップをテーマとしたFXのコメディ「アトランタ」(Atlanta)のドナルド・グローバー(Donald Glover)が、コメディ部門で監督賞と主演男優賞を受賞。アフリカ系アメリカ人として、初めて同部門の監督賞を受賞した。

ネットフリックスドラマ「マスター・オブ・ゼロ」(Master of None)のリナ・ウェイス(Lena Waithe)は、アジズ・アンサリ(Aziz Ansari)と共に、コメディ部門で脚本賞を受賞。リナ・ウェイスは、アフリカ系アメリカ人として、初めて同部門の賞を受賞し、LGBTQコミュニティに感謝を述べた。

スターリング・K・ブラウン(Sterling K. Brown)は、ドラマ「THIS IS US 36歳、これから」(This Is Us)で、ドラマ部門主演俳優賞を受賞。

リズ・アーメッド(Riz Ahmed)は、HBOのサスペンスドラマ「ナイト・オブ・キリング 失われた記憶」(The Night Of)で、リミティッドシリーズの主演男優賞を受賞。同部門では、ロバート・デ・ニーロ(嘘の天才 史上最大の金融詐欺」)や、ユアン・マクレガー(「FARGO ファーゴ2」)、ベネディクト・カンバーバッチ(「SHERLOCK シャーロック」)もノミネートされていた。

ネットフリックスのSFドラマ、「ブラック・ミラー」(Black Mirror)は、エピソード「San Junipero」がベストTVムービー賞を受賞している。

「9時から5時まで」のジェーン・フォンダ(Jane Fonda), リリー・トムリン(Lily Tomlin), ドリー・パートン(Dolly Parton)が再集結。ダブニー・コールマン(Dabney Coleman)への追憶を行った。

気になる視聴率は

今年の視聴者数は、1138万人と発表された。昨年ABCで放送された視聴率よりも、ダウンしたという。特に18-49歳の視聴者数が過去最低となっている。同時刻にFOXで放送されていたNFLの試合も大きく影響したと分析されている。

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