イーロン・マスクのインタビューでテスラ株急落 その内容とは

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17日、電気自動車メーカー、テスラの株価は8.9%下落し、305.50ドルで取引を終えた。2016年6月に10.45%の下落を記録して以来、最大の下落幅となる。イーロンマスク最高経営責任者は、前日のニューヨークタイムズ紙のインタビューで、「苦痛に満ちた一年であった」と語るなど、現在の苦しい胸の内を告白。また、週に120時間働いていることや、睡眠剤を服用していることを明かすなど、CEOの健康状態に不安を印象づける内容となった。

テスラ非公開化について

インタビューでは、テスラの株式非公開化に関するツイートについても詳細が語られた。
マスク氏は7日「テスラを420ドルで非公開にすることを検討している。資金は確保した」とツイッターに投稿。実現の期待感から、同日の株価は前日比11%上昇した。

ツイートを投稿したのは、マスク氏がTesla Model Sで自宅から空港に向かう最中で、投稿前の文章を第三者には見せなかったという。
420ドルの額面については、当時の価格に20%のプレミアを上乗せして提案したかったと述べた。420の数字が大麻の隠語であることから、一部でマスク氏がマリファナを吸っているのではないかとの噂が広がっていた。実際のところ、20%を上乗せした価格は419ドルであったが、「420ドルの方が縁起が良さそうだったから」と理由を述べ、「”stoned(ハイになる)”って言葉があるように、大麻で生産性が高まることはない」と疑惑を否定した。

「資金は確保した」という発言の根拠について、マスク氏はサウジアラビアの政府系ファンドが株式非公開化に向け、資金提供を申し出ていると述べていた。しかしながら、関係者によると、ファンドとは約束に至っていない。このことから、証券取引委員会(SEC)が、虚偽による株価操作の可能性を巡り、テスラ役員とマスク氏に対して召喚状を送付し、来週早々にも証言が行われる可能性があるという。

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関係筋によると、役員達はマスク氏の突然のツイートに怒りをあらわにしていたという。しかし、マスク氏は「腹を立てた取締役から連絡を受けたことは全くない」と述べた。さらに、ツイートを後悔しているかとの問いかけに「なぜ私が?」と答え、SNSの使用を継続する意向を明らかにした。

加重労働から、睡眠剤の服用に

仕事環境について、マスク氏は、最近では週に120時間働いていると述べ、「工場を3,4日離れられない時期があった」と、十分な休息をとることができない状況を語った。また、6月28日に47歳を迎えたが、「徹夜で、友人にも会えず、何もしなかった」と、言葉を詰まらせながら語ったという。さらに「眠らないか、アンビエン(睡眠剤)かしばしば選択することがある」と、仕事から離れている時間に、休息をとるために睡眠剤を使用していることを明らかにした。

アメリカ依存症センターによると、アンビエンは、長期間服用すると依存症になる可能性がある。また、記憶喪失、集中力の低下、場所・時間感覚の喪失、鬱、心配性や悪夢に悩まされるなど、認知機能に対し副作用を起こすことがあるという。

マスク氏のアンビエンの服用は以前から知られており、昨年、ワインとともに服用していることをツイートし、話題となっていた。

役員と近しい関係者によると、アンビエンの服用が、マスク氏を眠らせるのではなく、時に深夜のツイッターに向かわせることを心配している役員もいるという。また、マスク氏がたまに嗜好用ドラッグを服用していたことを知っている役員もいるという。

ナンバー2の採用の可能性を否定

テスラ執行部が、最高執行責任者または、マスク氏の日々の責任を引き受けるナンバー2のリクルーティングに動き出しているという憶測について、マスク氏は「わたしの知る限り、現在、実際に探してはいない」と否定。マスク氏は数年前、現Facebook最高執行責任者のシェリル・サンドバーグ氏(Sheryl Sandberg)にアプローチしていたことを、明らかにしている。

インタビューの最中、マスク氏は躊躇したのち「テスラの運営に関して、最悪の状況は過ぎ去った。しかし、個人的な苦痛に関しては、最悪はこれからだ」と述べた。