CEO特別プログラム?おすすめ表示にイーロン・マスクのツイートが急増したワケ

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イーロン・マスクCEOのツイートがおすすめ表示される回数が急激に増加したという。この背景について、米テック系ニュースサイトThe Vergeと姉妹サイトThe Platformerの記者らが解説している。

The Vergeによると、1億人以上が視聴したとされるNFLの頂点を決める試合「スーパーボウル」が放送された翌日の13日、ユーザーらの間で「For You(あなた向け)」に表示されるツイートが、マスク氏の投稿で埋め尽くされているとの声が上がった。

「For You」は今年1月にスタートした表示機能で、フォローの有無に関わらず、ツイッターのアルゴリズムが、ユーザーにとってのおすすめを判断、自動で表示される。

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マスク氏はここ最近、自身のツイートのエンゲージメントが低下していることに不満を抱いており、この問題をめぐって解雇されたエンジニアもいたほどだった。

The Platformerが関係者の取材をもとに伝えたところでは、スーパーボウル終了後の午前2時半、マスク氏のいとこで昨年12月にツイッターに加わったジェームズ・マスク氏から、「プラットフォームのエンゲージメントに関する問題をデバッグしている」とスラックに投稿が入った。ジェームズ氏は「緊急度が高い」と述べ、エンジニアらに作業に加わるよう呼びかけた。

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急遽参加したエンジニアらにとって、「緊急事態」の意味はすぐに明らかになったという。それは、マスク氏のスーパーボウルに関するツイートのエンゲージメントが、バイデン大統領のものよりも著しく低いということだった。バイデン氏が、妻がイーグルスを応援することを支持すると表明した投稿はその時点で2,900万インプレッションを獲得していたが、同じくイーグルスを応援するとしたマスク氏のツイート(削除済み)は910万回をわずかに上回る程度だった。

結局イーグルスは敗けたのだが、試合の舞台となったステート・ファーム・スタジアムでルパート・マードックの隣で観戦していたマスク氏も、自らプライベートジェットで急遽ベイエリアの本社に乗り込み、エンジニアに回答を求めたという。

The Platformerによると、マスク氏はここ数週間、自分の投稿のエンゲージメント数に執着するようになり、先週、この理由をマスク氏に対する関心が低下しているからだと主張したエンジニアを解雇していた。その後、「前例のないユーザー全体への(マスク氏の)ツイートのプロモーション」を可能にするシステムが構築されたという。

この取り組みがマスク氏の望み通りの結果をもたらさなかった理由は不明だが、ジェームズ氏らがさらなる解雇をほのめかすなど、はっぱをかけた結果、13日の午後までに「問題」は「修正」された。結果、マスク氏のツイートが「For You」を埋め尽くすことになった。

修正内容について、The Platformerの記者は、マスク氏の全てのツイートが「ユーザーにベストなコンテンツを表示するよう設計されたフィルターを回避」し、「自動的にゴーサイン」を出すコードが導入されたと説明している。なおこのコードは、社内では「パワーユーザー倍率」という名称で呼ばれ、現在の適用対象者は、マスク氏だけだという。

マスク氏も自ら、変更を認めるかのようなツイートをしている。14日、「Forced to Drink Milk」と呼ばれる人気のミームに変更を加え、「イーロンのつぶやき」と書かれた女性が、「ツイッター」と書かれた女性の髪を引っ張り無理やりミルクを飲ませる画像を投稿した。