イーロン・マスク 人類の長寿追求に反対のワケ

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イーロンマスク

米電気自動車大手のテスラや、宇宙企業、スペースXの創設者、イーロン・マスク最高経営責任者。このほかにも、脳機械インタフェースの研究開発など、次世代分野の事業を次々とてがけるマスク氏だが、人類の長寿追求には興味がないという。

マスク氏は27日、Business Insiderを傘下に置くドイツのメディア大手アクセル・シュプリンガーの最高経営責任者、マティアス・ドップフナー氏をカリフォルニア州フリーモントの自社工場に招き対談。出生率の低下が「人類の未来において最大で唯一の脅威」だと述べた上で、長生きを追求するべきではないと語った。

マスク氏は、人々に本当に長く生きてもらうべきだとは思わない、と語り、「年長者が多いと、社会に閉塞感を生む。なぜなら彼らの大半が考え方を変えないというのが真実だからだ」と理由を述べた。続けて「人々が死ななければ、我々は古い考えに埋もれ、社会は進歩しなくなる」と主張した。

さらに、民主主義が適切に機能するには、政治的リーダーの年齢は人口全体の平均年齢との差が10~20歳以内であるのが理想的だと持論を展開。自分の健康維持については、大切ではあるが、死は「安息としてやってくるもの」と考えていて、恐れてはいないと語った。

「我々はすでに長老支配の深刻な問題に直面していると思う。指導者が非常に高齢な国がとても多い」と危機感を示した上で、「アメリカは、とてもとても時代遅れのリーダーシップだ。何世代も上の人物が一般の人々と繋がろうなどというのは、単純に不可能だ」と今の米政界の重鎮とされる人物らが比較的高齢であることを憂いた。

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「アメリカの建国者たちは、地方政府の職に就くための最低年齢を定めたが、年齢の上限を定めなかった。それは人々がまさかそれほど長生きするとは思わなかったからだ。想定しておくべきだった」と主張。「民主主義が機能するためには、指導者は一般の大多数の人と適度に関わりを持てる人物でなければならない。若すぎたり高齢すぎたりすると、親近感が湧かなくなる」と、年長者がリーダーシップを取ることのデメリットを述べた。

ちなみにここ最近の米大統領の就任時の年齢は、現職のバイデン氏が78歳、トランプ氏は70歳、オバマ氏は47歳だった。憲法では、大統領に就任可能な年齢を少なくとも35歳と定めている

マスク氏は以前、公職への立候補の年齢を70歳以下に制限すべきと主張していた。