トランプ支援団体を寄付者が提訴。2.6億円の返金を要求

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©mashupNY

選挙不正を暴く取り組みを約束した非営利組織「トゥルー・ザ・ボート(True the vote)」に多額の寄付をしたトランプ支持者の実業家が、全額返金を求めて同団体を提訴した。

訴訟を起こしたのは、ヘルスケアに特化した投資会社「エシェルマン・ベンチャーズLLC」の創設者フレッド・エシェルマン氏。2020年の選挙では、共和党に数万ドルを寄付している。

訴状によると、エシェルマン氏は250万ドル(約2.6億円)を、2回に分けて、同団体のプロジェクト「Validate the Vote」のために送金した。

トゥルー・ザ・ボートのキャサリン・エンゲルブレヒト代表はエシェルマン氏に、プロジェクトについて「調査を行い、訴訟を起こし、違法な票と不正を暴く」と説明。この一環として、内部告発者の証言を求めたり、パブリシティを通じて世論を形成したりするほか、重要州で共和党議員の支持を盛り上げ、不正のパターンについてデータを統計・分析し、連邦最高裁で審理可能な訴訟を起こすと話した。

訴訟については、接戦となった7州を提訴する計画を話したという。また計画にかかる費用は732万5千ドルに上るだろうと話していた。

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エシェルマン氏はエンゲルブレヒト氏の説明を元に、計画に使用されることを条件に、200万ドルを寄付することに合意。11月5日に送金した。その後、エンゲルブレヒト氏が当初の予算を超える費用がかかることを示したため、11月13日に、追加で50万ドルを送金した。

エシェルマン氏は訴状で、調査や訴訟の進展について細かい報告を求めていたが、返答はいつも漠然ととしており、続報を提供するという「空約束」をされたと述べている。

接戦州の訴訟について、バイデン氏が制した4州(ジョージア、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシン)で訴状を提出したが、16日に、エシェルマン氏に相談または報告をせずに取り下げたという。

エシェルマン氏は、団体は、活動が遅延し、宣言したゴールを達成する能力がなく、16日には資金提供に同意をした「Validate the Vote」の実行が不可能であることが明らかになったと主張している。

なお同団体は17日、ウェブサイトで、時間の制約などを理由に「別の道を追及せざるを得なくなった」と発表している。

ウィスコンシン州では29日、トランプ陣営が300万ドルを負担して求めた2つの郡の再集計が終了。バイデン氏の勝利が改めて確認された。ミシガン州、ペンシルベニア州、ジョージア州(トランプ陣営が2回目の再集計を要求)でも、バイデン氏が勝利している。

トランプ大統領は同日、ツイッターで、ウィスコンシンの再集計は「間違いを見つけるためではなく、違法に投票した人々を見つけるためだ」と述べ、訴訟を起こす考えを示した。

トランプ氏は、選挙で大規模な不正が行われたとの主張を続けており、現在も敗北を認めていない。これまで6つの接戦州で30件以上の訴訟を起こしてきたが、このうちの多くが退けられるか、取り下げるなどしている。いずれの裁判所も不正の事例を一件も認めていない

一方、一般調達局(GSA)のマーフィー長官は23日、バイデン氏に宛てた書簡で、陣営の訴訟と選挙結果の認定の進展状況から、大統領政権移行法に則り、政権移行プロセスの開始をできると通知していた。