米司法省、NY市など3都市は「アナキストの法域」政府からの資金配分見直しへ

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米司法省は21日、ニューヨーク市とシアトル、ポートランドの3都市を「暴力や物件の破壊を許し、犯罪活動に対する合理的な措置を講じることを拒否した」として「アナキストの法域」に指定。政府からの資金配分を見直す可能性を示唆した。

ウィリアム・バー司法長官(William Barr)は声明で「州および地方政府の指導者が、法執行機関の職務を妨害するのであれば、平和的にデモ活動を行っている人々を含め、保護されるべき無実の市民を危険にさらす。」と主張。「市民の安全が危ぶまれる状態であれば、連邦政府の税金を無駄にすることは許されない。司法省が指定した都市が、針路を変えること。そして、政府の基本的機能を真剣に遂行し、市民を保護することを願う」と語った。

声明では、5月28日に起きた黒人男性ジョージ・フロイドさん死亡事件の後のデモ活動に対する対応や、警察予算の削減、犯罪件数の増加などが都市別に指摘されている。

ニューヨーク市に関しては以下の点を挙げた。

  • 5月28日以降の銃撃増加(7月の発砲件数は244件で、昨年同時期に比べ177%増加。8月の発砲件数は242件で166%増加)
  • 2021年度予算で、ニューヨーク市警察の予算を10億ドル削減
  • 地方検事は、違法集会や無秩序な行為を訴追しなかった
  • デブラシオ市長とクオモ知事は法執行機関の支援を拒んだ

シアトルは、市がアナキストと活動家にキャピトル・ヒルの自治区(CHOP)を1カ月間にわたり占領することを許し、その間2人が殺害されたことや、犯罪件数が525%増加したことを挙げた。

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ポートランドは、破壊行為や殺害などを含む抗議デモを100日連続で行い、発砲事件の140%増加、1500万ドルの警察予算を削減したと指摘している。

バー氏は、必要に応じて「アナキスト法域」は追加されるとしている。

今後2週間以内に、行政管理予算局から各機関に対して、これらの都市への資金引き揚げに関するガイダンスを発行するという。

今月2日、トランプ大統領が連邦政府の各機関に対し、無政府状態や、暴力、破壊行為を許可する州および地方政府に対する資金配分について再検討を求めたことが報じられた。

さらに同日のツイートでは「アナキストが人々に危害を加え、建物を焼き尽くし、人々の生活や事業に損害を与えている。われわれの政権はあらゆる権力を行使し、弱腰の市長や無法都市が、連邦政府の資金を使用するのを阻止する。」と投稿していた。

これに対し、ニューヨーク州のクオモ知事は会見を開き、トランプ氏に対してニューヨークの街を歩くつもりなら、自衛のために「軍隊を伴った方が良い」と述べるなど、不快感を表明。その後も互いに批判を繰り広げていた。