ディズニー LAタイムズを試写会から締め出し、業界猛反発

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ウォルト・ディズニー(Walt Disney)が、ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)の映画ジャーナリストを、プレス向け試写会から締め出した件で、ニューヨークタイムズをはじめとしたメディアや各批評家協会の間で大炎上する騒ぎが起こった。

きっかけはLAタイムズの調査報道

LAタイムズは、9月の紙面で、カリフォルニア州アナハイム市(Anaheim)にあるディズニーランド・リゾートと同市の関係に疑問を呈する記事を掲載した。

記事の中で、ディズニーが使用している駐車場は、市の予算1億8百万ドルで建設され、現在も市の所有物となっているが、ディズニーは年間わずか1ドルでリースしているという。LAタイムズの試算によると1台あたり20ドルもしくは35ドルで、年半分埋まったとした場合、年間3千5百万ドルの収益となる。それはすべてディズニーの売り上げとなり、この契約はテーマパーク開演後より20年続いている。
この駐車場は、市がテーマパーク建設のため発行した債券(11億ドルの利息を含む40年債)の返済後、ディズニーに所有権が移ることとなっている。

また、2015年にはエンターテインメント税を控除若しくは減税する合意を締結。その見返りとして、スターウォーズのテーマパークが建設されることが決定したなど、長年に渡り同社と市の間で、補助金やリベート、様々な税制面の優遇措置を受けていることを指摘。政治家との関係などにも触れ、地元選挙に及ぼす影響なども報道されている。

先週、ディズニーは「LAタイムズの記事は、ジャーナリズムの基本的な基準を逸脱している。」と声明で発表を行ったが、掲載された記事に対して、ウォルトディズニー社から訂正などは求められていないという。

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プレス向け試写会からの締め出し

ディズニーは、LAタイムズの映画ジャーナリストをプレス向け試写会から排除する措置を取ったという。これは、先週掲載された紙面で明らかにされたもので、試写会よりブラックアウトされたため、2017年ホリデー映画の欄で、ディズニー映画は紹介されない旨を読者に説明した。
先週末に全米で公開された映画「マイティ・ソー バトルロイヤル」(Thor: Ragnarok)のプレス試写にも参加できなかったという。

他のメディアもボイコットへ

このディズニーの措置に対し、ニューヨークタイムズや、ボストン・グローブ、エンタメ系ウェブサイトのThe A.V. Clubは、試写会のボイコットを表明。

来年3月ディズニー作品「A Wrinkle in Time」の公開が控えているエイヴァ・デュヴァーネイ (Ava Marie DuVernay)監督。ツイッターでジャーナリストを支持すると発表した。

各批評家協会も非難

7日、ロサンゼルス映画批評家協会や、ニューヨーク映画批評家サークル、ボストン映画批評家協会、映画批評家協会のメンバーもディズニーの対応を非難。
各団体は、ディズニーがLAタイムズへのブラックアウトを撤回しなければ、年末の賞レースの対象から、ディズニー作品を除外する決定を行ったと発表した。

その後、ディズニーは、LAタイムズの排除を撤回した。声明では、LAタイムズと生産的な話し合いを行っており、その結果として、試写会への参加を可能とする合意に至った、と発表している。

今回のブラックアウトにより、アナハイム市とディズニーの関係について、改めて大きな注目が集まっているという。

LAタイムズの記事を拡散しようというツイート。