ニューヨーク市のデブラシオ市長は18日、MSNBCの番組でクオモ州知事に電話で脅されたと主張するロン・キム(Ron Kim)ニューヨーク州議会議員を「100%信じる」と語った。
ニューヨークポスト紙は11日、クオモ氏の側近メリッサ・デローサ氏と、キム氏を含む民主党のトップ州議会議員の非公式な会議の内容を報じた。
その中で、デローサ氏はトランプ政権からの追求を懸念し、昨年夏に州議会が求めていた老人ホームの死者数に関するデータの公表を差し控えたと語っていたことが分かった。報道後、クオモ政権はデータを隠蔽しようとしていたとして、クオモ氏の辞任や調査を求める声が上がった。
同日夜、クオモ氏はキム氏に電話をかけ、「君は善人か」と切り出し、10分間にわたって怒鳴り続けたという。キム氏がいかにクオモ氏の怒りを理解していないかと話し始め、「破滅させる」と脅されたとニューヨークタイムズなどに説明している。
新型コロナウイルスの対応を巡り、様々な局面で対立が報じられたデブラシオ氏は、この件について「こう言うのは残念だが、これが典型的なアンドリュー・クオモだ。ニューヨーク州の多くの人々はこれらの電話を受け取っている」と語った。
クオモ氏の「弱い者いじめは、今に始まったことではない」とし、「真実を語った人はこのように扱われるべきではない。脅迫や軽蔑、声明の変更を要求することは、州の人から何度も聞いたことがある」とキム氏を擁護する発言をした。
キム氏は老人ホームで叔父を亡くしている。「彼は家族を代表して、正直に懸念を示した」と述べ、このような扱いは許されるべきではないと非難した。
キム氏の告発に対し、クオモ政権のリッチ・アゾパルディ(Rich Azzopardi)上級顧問は17日、「嘘をついている」と声明を発表した。
アゾパルディ氏は、クオモ氏が電話した際に部屋の中にいたとした上で、「怒り」で「破滅させる」と脅していないと説明した。
さらにキム氏はクオモ氏と長らく敵対的な関係にあったと指摘。2015年のネイルサロンの法案では、サロンオーナーらから資金を受け取った後に反対に回るなど、立場を変えたと指摘。キム氏は現在も資金を受け取っているのは、非倫理的であり、調査されれば違法性が判明するだろうと述べた。
クオモ氏も同日の会見で、キム氏は電話では声明を出すと話したが、そうしなかったと述べ、「キム氏の信頼性はこのようなものだ。私は電話で、政治には誠実や品位があるのだと話した」と語った。
なお老人ホームデータに関して、クオモ氏は16日の会見で、州議会へのデータの提供が遅れたことを認め、市民やメディアからの要求を「優先」するべきだったと語った。一方、対応を両立できなかったのは「キャパシティの問題」と述べ、隠蔽の意図を否定している。