陰謀論をネットに投稿、ペロシ下院議長の夫襲った容疑者とは

サンフランシスコ市警察は28日、民主党のナンシー・ペロシ下院議長の自宅に侵入し、夫のポール・ペロシ氏(82)を暴行した容疑で、ディビッド・ディパピ(David DePape)(42)を逮捕。殺人未遂および凶器を用いた攻撃、老人虐待、押し込み強盗などの罪で起訴した。

事件が起きたのは午前2時半ごろ。ペロシ氏の自宅は、高級住宅地パシフィックハイツにあり、警官が通報を受け駆けつけると、ポール氏とディパピ被告が互いに1本のハンマーを握り、争っていた。その後、ポール氏からハンマーを奪い「激しい攻撃」を加え始めたという。警官が突進し、武器を奪い、逮捕に至った。

ポール氏は、右手を負傷し、頭蓋骨を骨折する大けがを負った。地元の病院で手術を受け、回復に向かっているという。

現場上空から撮影された映像では、自宅の裏のガラス窓が破られた様子が撮影されており、犯人はそこから侵入したとみられている。

CNNによると、自宅に押し入った被告は「ナンシーはどこだ?」と繰り返し叫び、ポール氏を縛ろうとしたほか、ペロシ議員が帰宅するまで待機するなどと主張したという。なおペロシ氏は事件発生時、首都ワシントンにいた。ポール氏自らが、警察に通報した。

サンフランシスコ警察とFBI、米連邦検事事務所、連邦警察が合同捜査に着手すると発表している。

陰謀論や反ユダヤ主義発言を投稿

反抗の動機は明らかになっていないが、CNNは、新型コロナウイルスに関する陰謀論や議事堂襲撃事件に関するミームをFacebookに投稿していたと伝えている。

また自身のブログのトップページには「ビッグブラザーの検閲地獄にようこそ」と書かれ、「小児性愛者の正常化」「事実は人種差別主義」「ヒトラーは間違ったことをしていない」などのタイトルがついた投稿が公開されていた。Qアノンの陰謀論や人種差別的なメッセージのほか、政府やメディア、テック企業が検閲を行なっていると繰り返し非難していた。

ブログは2007年に開設されていたが、ほとんど更新されていなかった。しかし今年8月に投稿件数が急増。4日間で数十件の更新があったという。現在ブログやSNSは閲覧できなくなっている。

複数の報道によると、ディパピ被告はカナダのパウエルリバーで育ち、2003年に米国に移住した。義理の父は地元紙Sacramento Beeの取材に、2003年以来口を聞いていないと明かした。自分が知っているディパピ被告は「決して暴力的ではなく、非常に驚いている」と明かした。

オークランド・トリビューンによると、ディパピ被告は、ベイエリアで有名な「ボディ・フリーダム」活動家、オキサン・”ジプシー”・タウプさんの間に、3人の子供がいるという。

タウプ氏は、過去に米同時多発テロ事件に関して「内部の犯行」という陰謀論を流布していたほか、サンフランシスコの市庁舎の階段で”裸の結婚式”を挙げようとし、大きく報じられたことがあった。なおタウプ氏は昨年、14歳の少年にストーカーを行為をしようとしたことで、有罪判決を受けている。今回の襲撃事件に関与していたかは明らかではない。

カリフォルニア州のニューサム知事は声明で「命を危険にさらし、民主主義や民主主義制度を弱体化させる、分断的かつ憎悪に満ちたレトリックの危険な影響」だと非難。「暴力を煽動するためにプラットフォームを使用する人々は、その責任を持たなければならない」と述べた。