NY市で略奪多発 クオモ知事「警察と市長は職務果たしてない」

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©mashupNY

ニューヨーク市で抗議デモに乗じた略奪が多発している問題に関し、アンドリュー・クオモ知事は2日の会見で、ニューヨーク市警察の対応は不十分と非難。デブラシオ市長に対策の強化を求めた。

市内各所では28日からミネソタ州の黒人男性死亡事件に対する抗議デモが毎日行われている。多くのデモは平和に行われる一方で、夜間になると、警察車両の放火や器物破壊といった暴力行為が増加している。日曜日の深夜には大規模な略奪行為が発生した。高級ブランド店の並ぶソーホーでは小売店の窓が相次いで割られ、商品が持ち去られた。

状況に対応するため、月曜日には市全域に夜間の外出禁止令が発令された。警察官も通常の2倍の8,000人に増員したが、さらに範囲を広げて略奪が繰り返された。

クオモ氏は「警察は略奪と犯罪行為をストップしなければならない。これは警察部隊の本質だ。地域社会を守り、プロパティを守らなければならない」と述べ、「ニューヨーク市警察と市長は職務を十分に果たさなかった」と批判した。さらに「市長は問題の大きさや期間を軽視していた。状況に対応する十分な警察官を使用していない」と増員の必要性を主張。「昨晩の出来事は言語道断」と語った。

州兵派遣の可能性について、市長が受け入れを拒否していると説明しつつ、国内最大の3万8,000人を抱えるニューヨーク市警察独自で十分に対応が可能だと見解を示した。一方、事態を収めることができなければ、市長を交代させて州兵派遣も理論上は可能と警告。ビデオに撮影された多くの略奪場面で警察の姿がなかったと指摘し、さらなる増員を求めた。

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デブラシオ市長は同日の会見で、州兵動員は事態悪化につながるとして、受け入れの可能性を否定した。「外部の武装部隊が地域社会に入ると、良い結果は生まれない」と述べ、「彼らはここの状況に対応するよう訓練されていない」と語った。

クオモ氏は会見中、取り締まりの強化を求めつつ、抗議デモそのものに対する支援を繰り返し強調。「抗議者達は怒っている。私も賛同する。フロイド氏の身に起きたことはアメリカにとっての不名誉だ。」と語った。一方、略奪者は「抗議とは全く関係のない異なる状況だ」と述べ、「フロイド氏殺害に対する正当な怒りを隠れ蓑に勝手をする権利はない」と語った。

ダーモット・シェイ警察委員長によると、月曜の夜中から翌日朝にかけて、抗議デモ開始以来最大となる約700人が拘束された。またデブラシオ市長は同日、警察の取り締まりを支援するため、夜間の外出禁止の開始時刻を午後11時から8時に早めると発表した。