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老人ホーム死者数の隠蔽疑惑 NY州クオモ知事は否定

ニューヨーク州のクオモ知事は15日の記者会見で、高齢者施設の新型コロナウイルスによる死者数に関するデータの提供が遅れたことを認め、市民やメディアからの要求を「優先」するべきだったと語った。

先週、クオモ氏の主任補佐官のメリッサ・デローサ(Melissa DeRosa)氏が、民主党の州議会議員との非公開の会議の中で、データがトランプ政権に政治利用されることを懸念し、州議会への提供を「凍結した」と話していたことが判明。意図的な隠蔽を認めたとして、クオモ氏の辞任や調査を求める声が上がっていた。

クオモ氏は、昨年8月に司法省から州営の高齢者施設について情報提供を求められたほか、司法省による民間高齢者施設に関する調査のために、1月まで「自発的」にデータを作成、提出していたとした上で、司法省の要請に応える間、州議会からの要請への対応を「一時停止した」と説明。「われわれは皆忙しかった。パンデミックの最中にあって、メディアや市民に追加の情報を提供することが遅れた」と語った。

司法省と議会への対応を両立できなかった理由は「キャパシティの問題」と述べ、隠蔽の意図を否定した。

ニューヨーク州の高齢者施設の死者数は、病院に入院した後に死亡した人数を含めておらず、昨年の早い段階で過小評価と非難する声が上がっていた。

ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は先月28日、老人ホームにおける新型コロナウイルスへの対応に関する報告書で、州保健局のデータよりも50%以上多い死者が出ている可能性があると発表した。

州保健局は1月19日に初めて合計数字を公表。結果、前日の8,711人から12,743人となった。さらに今月10日に議会に報告された死者数は13,297人だった(入居型介護施設や成人ケア施設での死者数1,752人を含めると15,049人)。

クオモ氏は会見で、これまで施設の死者数は完全かつ公に、正確に報告していると主張。人々が求めたのは「死亡した場所」以上の追加情報だと述べ、「区分け」による違いであると強調した。

一方、データの公表を優先するべきだったと述べ、情報の「空白」が「懐疑心と不信感、陰謀論で満たされ、さらなる混乱を招いた」と説明。「この空白は偽情報を許し、家族と愛するものにさらなる不安を生み出した。これだけは避けたかった」と後悔を述べた。

会見では、3月25日に発行したガイダンスについても弁明に時間を費やした。

州保健局は、5月10日に同ガイダンスを撤回するまで、施設は新型コロナウイルスと診断された、または感染の疑いがあるという理由で、再入居もしくは入居を拒否すべきではないとしたほか、病院から退院する「容体が安定した」入居者に関して、受け入れ前の検査を禁止するとしていた。

クオモ氏はガイダンスについて、保健福祉省下のCDC(疾病対策センター)およびCMS(メディケア・ メディケイド・サービス・センター)の指針に従ったものだと説明。当時のガイダンスでは、病院から退院した入所者は感染させる危険が低く、周囲と区別すればよいとされていたほか、高齢者患者は2次感染の危険を理由に、必要以上に病院にとどまらせるべきでないとされていたと述べた。また、入所は法律上、適正なケア(職員や個人保護具の用意、隔離施設など)のできる施設に限定されていたと指摘。さらに、当時、専門家は5万床の医療施設に対してピーク時で14万床が必要になると予測しており、医療崩壊の危険も3月25日のガイダンスの理由の一部だとした。

ガイダンスがもたらした影響については、病院からの患者を受け入れた365施設のうち98%で、すでに新型コロナの感染が発生していたと説明した。病院から来た患者ではなく、職員によってウイルスは施設にもたらされたと述べ、当時、専門家は症状がある場合にのみ感染すると述べていたと語った。春の段階と秋冬の死者数の割合に変化はないとガイダンスの影響を否定し、世界中のコロナウイルスの専門家の助言に従った決定であり、政治的なものではないと強調した。

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