クオモNY州知事 スタッフ私物化の疑い。州司法長官が調査へ

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ニューヨーク州のクオモ知事がパンデミック中に出版した著書「アメリカン・クライシス」に関連して、州のリソースを私的に使用した疑いがあるとして、州司法長官が調査を開始した。ニューヨークタイムズが報じた

同紙は先月、クオモ氏が、スタッフに草稿を印刷して届けさせるなど、本の執筆に関して州の資源を使用していたと報じていた。州の公務員法では「州の財産やサービス、その他の資源を、民間事業および報酬を伴う行政以外の目的に使用すること」を禁じている。クオモ氏は契約内容について公表していないが、出版社との契約金は400万ドル(4.4億円)以上ともいわれる。

アラン・ヘヴェシ(Alan G. Hevesi)元州会計監査役は2006年、妻の用事のために、州の運転手を使ったとして有罪を認め、辞任した。

トーマス・P・ディナポリ (Thomas P. DiNapoli)州会計監査役は13日、クオモ氏の書籍「アメリカン・クライシス」に関する疑惑が州法に違反するかどうか、調査を要請する書簡をレティシア・ジェームズ司法長官宛に送っていた。

クオモ氏は、少なくとも6月中旬から執筆作業に取り掛かっていた。
この時期は、州保健局が高齢者施設における被害に関する報告書を作成していた時期と重なっている。
7月に発表された同報告書は、ドラフト段階での総死者は9,844人だったが、クオモ氏のスタッフの働きかけにより、最終的に施設から病院に入院して死亡した人数を取り除かれ、6,432人とされた。

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政治的策略だと反論

クオモ氏の上級顧問リチャード・アゾパルディ氏は、側近は「自分の時間を使い自発的」にプロジェクトに参加し、プリントアウトなど一部の作業については「付随的」なものだと反論
州会計監査役と州司法長官はともに、知事選に立候補すると周囲に語っており、「オールバニーの政治的」なもくろみだと主張。政治的な自己利益のために、犯罪照会の権限を行使するのは、非倫理的だと非難した。

ジェームズ州司法長官は現在、クオモ氏に対する複数の女性からのセクハラや、パンデミック期間中の老人ホームの対応に関する調査を進めている。

民主党の連邦上院議員トップのチャック・シューマー院内総務や、州議会トップのアンドレア・スチュワート・カズンズ議員(民主党)など多くの議員がクオモ氏に辞任を求めている。クオモ氏は辞任はしないとしている。

なおシエナ大学が19日に公開した世論調査では、51%がクオモ氏は即時に辞任すべきでないと回答。52%は、調査中であってもクオモ氏は職務の継続が可能だと回答した。
クオモ氏の4期目の再選を支持する州民は33%(民主党員は46%)だった。なおクオモ氏に対する好感度は40%で3月より3ポイント下落した。