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コロナ禍で売り上げ急増「クロックス」がファッショントレンドに

ゆったりとした履き心地と扱いの手軽さから、室内履きや作業用の靴として重宝されてきたクロックス(Crocs)が、最近ではレッドカーペットにも登場するクールなファッションアイテムとして人気を集めている。

クロックスは、2001年にフォートローダーデール・ボートショーで販売されたのが始まりで、これまでは、調理場のシェフや外で遊ぶ子供、ガーデニングシューズといったファッションから離れたイメージが定着していた。
ところがここ数年、ジャスティン・ビーバーを始め、ポスト・マローン、プリヤンカー・チョープラー、バッド・バニーなどのセレブが続々とクロックスとのコラボを展開。「ジビッツ」と呼ばれるチャームがついた限定モデルなどを売り出した。その結果、今年1月から3月までの四半期には、売上高を4億6000万ドルに伸ばし、先月末、クロックスの株価は過去最高を更新した。

PR newswire credit: Rory Kramer

人気の要因について、コロナ禍による外出制限で、ハイエンドなヒールや革靴よりも快適さが求められていることが挙げられるが、そればかりではないとニューヨークポスト紙は報じている
トレンドを調査するWGSNのシニア・メンズウェアエディター、ノア・ザゴール(Noah Zagor)氏によると、パンデミック以前から「ダッドコア」という、見た目より機能性を重視するファッションが流行り出し、消費者の間で、クロックスのような不恰好で魅力的とは言えない靴を受け入れる下地ができていたという。ザゴール氏は、クロックスには「リゾート地のハワイアンスタイルのシャツ」と共通点があると指摘。「健康志向、観光客、自然志向のバックパック旅行」といった美学の一部だと述べた。

また、中高年にクロックスはダサい靴の象徴と受け止められる一方で「バッド・バニーが履いているのを見て、クロックスにマイナス感情を抱かない10代はたくさんいるはずだ」と、ザゴール氏は語った。

マンハッタンのクロックス店は、週末になると大行列ができる。

クロックス

これに加え、派手な色使いやデザインも魅力だという。@TheClogLifeのインスタグラムアカウントでサンダルスタイルの靴を多数紹介しているライター、ローレン・メクリング氏(Lauren Mechling)氏は、コロナ禍で楽しみを失った中「滑稽な愉快さ」をクロックスは持ち合わせていると語っている。加えて、1足50ドル程度という価格の安さもあり、特にコロナ禍で失業者が急増する中、レイチェル・コーミーやNo.6 clogsのサンダルより、コストを抑えられることも背景にあると指摘している。

セレブの間では賛否両論

メクリング氏がクロックスの写真の投稿を始めたときはユーザーから反発が多く寄せられたが、クロックスを履くセレブの投稿が増えるにつれ、反応も変わっていったという。

先月のアカデミー賞授賞式では、ミュージシャンのクエストラブがクロックス姿でレッドカーペットを歩き、話題になった。昨年9月のエミー賞受賞式では、ドラマ「サクセッション」の俳優、ニコラス・ブラウンもクロックスを履いて登場した。ハリス副大統領の義理の娘の、エラ・エムホフ(Ella Emhoff)さんは、2月に自身のニットウェアのコレクションを発表したが、その際「クロックスと一緒に着用すること」と但し書きを添えた。モデルのハイディ・クルムも、1月に黄色のクロックスを履いた写真をインスタグラムに投稿している。

一方で、支持しないセレブたちもいる。ビクトリア・ベッカムは、ジャスティン・ビーバーからクロックスを贈られたものの、それを履くくらいなら「死んだほうがマシ」と一蹴。Netflixのリアリティー番組「クィア・アイ」への出演で知られるファッションデザイナー、タン・フランス氏(Tan France)も昨年、「クロックスは履くべきじゃない。誰もクロックスを履く人となんか寝ないから。独身でいたかったら、クロックスを履いたらいいけど」と語っている。

流行はいつまで?

ワクチン接種が進むにつれ、コロナ前の日常に戻りつつある中、ビジネス向けの服の売上が伸びる傾向にある。
そうした中でも、前出のザゴール氏は、クロックスの人気はしばらく続くだろうと予測する。クロックスは、日常生活の実用シューズになったようなものと述べ「ローファーやエアフォースワン、ヴァンズ、チャックスと並んで、フットウエアの武器として愛用されていくだろう」と語った。

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