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期限迫るClarity Act——クリプト業界を割る「利回りビジネス」

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先週報じられたクリプト構造化法案「Clarity Act」の条項をめぐり、業界内の対立が表面化している。

暗号資産分野の記者Eleanor Terrettは3月23日、審議に関わる議員による妥協案の内容を報じた。焦点となっているのは以下の点だ。

  • 「デジタル資産サービスプロバイダー」によるステーブルコイン残高への利回り提供を禁止
  • 禁止対象は「直接・間接」を問わず、利息と「経済的または機能的に同等」なものも含む
  • 一方で、ロイヤルティやプロモーションなど「アクティビティベースの報酬」は一定条件下で容認

この「利回りの線引き」が、業界を分断している。

業界分裂——Coinbase vs “妥協派”

一部報道によると、米暗号資産交換所大手のCoinbaseの代表は上院議員に対し、この草案を支持できないと伝えた。コインベースが異議を唱えるのは今回で2度目となる。1月には、CEOのブライアン・アームストロングが支持撤回を表明。議会(上院銀行委員会)のマークアップが延期された経緯がある。さらに決済大手Stripeも反対姿勢を示したと報じられている

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これに対し、推進派は異なる現実認識を示す。

Frax Financeのサム・カゼミアンはポッドキャストでこう語る。

「クリプト業界は、これが政治であり継続的なプロセスだということに慣れていない」

彼の立場は明快だ。
今回の妥協案を受け入れて法案成立を優先し、利回りの問題は次の立法サイクルで再び争えばいい。SECやCFTCの解釈は政権次第で変わる。しかし一度成立した法律は議会を通さなければ覆せない。つまり、「まずルールを固定すること」自体が最大の価値だという考え方だ。

実際、XRPコミュニティを中心に「#BoycottCoinbase」が拡散したと報じられている。これは、利回りよりも規制の確実性を優先する声の広がりを象徴している。

対立の正体——収益モデルの違い

この対立の根底にあるのは、理念ではなく収益構造だ。

SEC開示や関連報道によれば、コインベースの2025年のステーブルコイン関連収益は約13.5億ドル超で、収益構成の重要な部分を占める。Q4 2025には、Coinbase 製品内での平均 USDC 残高が178億ドルに達したと報告されている。この収益は、USDC準備金の運用利回りに連動するインセンティブ報酬に大きく依存していると見られている。

今回の妥協案は、この“利回りビジネス”を直接的に制限する可能性が高い。

一方で、すべてのプレーヤーが同じ影響を受けるわけではない。

例えばTetherは、ホルダーに受動的利回りを提供していない。このため規制による直接的な打撃は小さい。むしろ競合が差別化手段を失うことで、相対的な優位性は強まる可能性がある。またDeFi領域では、報酬の多くが「アクティビティベース」に該当するため、カーブアウトによる影響は限定的とみられる。

銀行は静観か

利回り規制は本来、銀行とクリプトの競争領域に直結するテーマだ。しかし今回の妥協案について銀行側の強い反発は、現時点で目立っていない。

これは不思議ではない。
規制が強化されれば、ステーブルコインが提供できる利回りは制限され、預金との競争は緩和される。つまり銀行側にとっては好都合と見なしえる。

政治レイヤー——妥協派が握る初期配置

もう一つ重要なのは、政治側の配置だ。

トランプ政権が発表した大統領科学技術諮問委員会(PCAST)の初期メンバーには、妥協案受け入れに柔軟とされる人物が含まれている。マーク・アンドリーセン(a16z)や、フレッド・エアサム(Coinbase共同創業者)などだ。彼らはアームストロングが1月に支持を撤回をした際、利回りを犠牲にしても規制の明確化を優先する姿勢を示したとされる。

PCAST自体は諮問機関に過ぎないが、4月のマークアップ交渉を前に、大統領周辺の助言構造を「妥協容認側」が占めるの点は無視できない。法案の初期条件は、すでに一方向に傾いている可能性がある。

次の観測点

予測市場Polymarketでは、Clarity Actの年内成立確率は低下傾向にある。オッズは一時82%に達したが、現在は約49%まで下落した。

上院は3月30日から4月9日まで実質休会に入り、審議は4月13日以降に再開される。銀行委員会でのマークアップは4月後半が見込まれる。しかしながら、利回り以外に、腐敗防止条項の導入の是非をめぐってホワイトハウスと民主党メンバーの対立も報じられている。交渉が難航し法案テキストが固まらなければ、年内成立が暗礁に乗り上げる可能性もある。

Clarity Actは単なる規制ではない。ステーブルコインを巡る収益の分配構造そのものを書き換える法案といえる。交渉の難航は、その再配分の難しさをそのまま映している。

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