ミネソタ州 警官が20歳の黒人男性を射殺。抗議・暴動に発展

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Brooklyn Center Police

ミネソタ州ブルックリンセンター市(Brooklyn Center)で11日午後、警察官が20歳の黒人男性を射殺する事件があった。

ブルックリンセンター警察の発表によると午後2時前、警官がツインシティ区の路上で、交通違反により男性に停車を命じたところ、逮捕状が出ていることが判明した。拘束しようとすると、男性は運転席に戻った。この際、警官が男性に発砲した。男性は車を数ブロック走らせた後、別の車両に衝突し停止した。
救命措置を行われたが、その場で死亡が確認された。

同乗していた女性は衝突の際に負傷し、搬送先の病院で手当てを受けた。命に別条はないという。衝突された車の運転手に怪我はなかった。現在ミネソタ州刑事逮捕局(BCA)が、調査をしている。

ブルックリンセンターのマイク・エリオット市長は、撃たれた男性の名前は、ダンテ・ライト(Daunte Wright)さん(20)と発表した。

「誤って発砲」と発表

12日に公開されたボディカメラの映像では、手錠をかけようとした後、拒んで車に乗り込んだライトさんに、「テーザーを打つぞ。テーザー、テーザー」と繰り返し警告した後、至近距離から警官が発砲する様子が写っている。ライトさんは撃たれた後、車のドアを閉め、走り去った。撃った警官は「しまった!彼を撃った」と叫んだ。

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ティム・ギャノン(Tim Gannon)警察所長は記者会見で、「誤って発砲した」と語った。

ニューヨークタイムズによると、ライトさんには無許可の拳銃の所持および警察から逃走したとして、2件の軽犯罪の容疑がかけられていた。今月頭、出廷の命令に応じなかったため、逮捕令状が出された。

ライトさんは、停車を命じられた際、保険について尋ねるため、母親に携帯電話で連絡していた。
母親のケイティ・ライト(Katie Wright)さんは記者団に対し、ライトさんは「バックミラーに芳香剤をかけていただけで、呼び止められた」と話した述べた。車は、母親から2週間前に譲り受けたものだった。

電話からは、警官が「電話を置いて、車から出ろ」などと命令する声が聞こえたという。その後、引きずる音や「走るな」という声が聞こえた後、電話が切れた。1分後に母親が電話をかけ直すと、助手席にいたガールフレンドから「彼は撃たれた」と告げられた。女性はカメラを向け、横たわったライトさんの姿を母親に見せたという。

事件の夜、ブルックリンセンター警察署の前では、投石などの激しい抗議活動が行われた。SNSに投稿された動画では、警察官が催涙ガスを使用する様子が撮影されている。

ブルックリンセンターのマイク・エリオット(Mike Elliott)市長は、午前6時まで夜間外出禁止命令を出した。さらに深夜になって州兵が派遣された。

ティム・ワルツ州知事は声明で、状況を注視していると述べ、「警官によって、また1人の黒人男性の命が失われた。ダンテ・ライトさんの家族に祈りを捧げる」と発表した

事件が起きたブルックリンセンターは、昨年5月末、ジョージ・フロイド氏死亡事件のあった場所からわずか16キロほど離れた場所だった。
現在、フロイド氏の警部を膝で抑え殺害したとして、元ミネアポリス警官デレク・ショービン(Derek Chauvin)被告の裁判が行われている。

ニュースサイトMPRは、ショッピングセンターなど約20店舗が破壊され、略奪行為が発生していると報じた。12日、市内の学校は閉鎖し、オンラインでの学習に切り替えられた。