英国のボリス・ジョンソン元首相は12日、戦争の早期終結のため、英政府はウクライナに長距離ミサイルを供与するべきと訴えた。
ジョンソン氏は議会で、「ウクライナの友が、現在続くロシアの容赦ない攻撃から身を守るのを支援するのに、英国と米国、西側の兵器が不可欠のはご存知だろう」とした上で、ドローンやミサイルを破壊する防空システムや戦闘機に加えて、「ATACMSのような長距離ミサイルシステムをウクライナに供給し、これらのミサイルやドローンの発射場を破壊するのを助けなければならない」と主張。「これがウクライナの友を守り、戦争をできるだけ早く終わらせるための真の方法」と説明した。
We should help the Ukrainian military not only to take out drones and missiles, but also to take out launch sites. That is the way to protect our Ukrainian friends and to bring the war to an end as soon as possible. pic.twitter.com/QePpJsvWrG
— Boris Johnson (@BorisJohnson) December 12, 2022
これに答えたウォレス国防省は「ロシアが、イラン製ドローンなどを使用して、ウクライナ軍の短距離の攻撃能力に付け込んでいるといった見方は正しい」と指摘。供与可能な兵器を常に見直しているとしつつ、「ロシアが引き続き民間地域を標的にし、ジュネーブ諸条約を破ろうとするならば、われわれが次に何をするかについて、オープンなつもりだ」と、検討の可能性を示した。
もし供与となれば、西側による介入のエスカレーションを示することになる。
ATACMS(Army Tactical Missile System)は、最大射程300kmの長距離誘導弾で、ゼレンスキー大統領はロシアの侵攻開始当初から、提供を要望しているが、米露の直接的な紛争に発展することを恐れているバイデン大統領は「ロシアを攻撃できるロケットシステムをウクライナに送るつもりはない」と話すなど、提供に否定的な姿勢を示している。ロシアも長距離ミサイルの提供は「レッドライン」であり、提供するならば、米国が「紛争当時国」であることを示すものだと牽制している。
NATOでは、先週ワシントンを訪れ、カマラ・ハリス副大統領と会談したリトアニアのイングリダ・シモニテ首相が、ポリティコの取材に、米国製ATACMSまたはヨーロッパの同等兵器を供与するべきとの見解を示した。ウクライナ軍はすぐに適応し、ウクライナ領土内のロシアの陣地を適切に攻撃するために必要であり、「彼らの能力を信じるべきだ」などと話した。