ビル・ゲイツ氏 FDAは信頼失っている

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ビル・ゲイツ氏はブルームバーグのインタビューで、新型コロナウイルスのワクチン開発に関し、食品医薬品局(FDA)は信頼を失っていると批判した。

ワクチンの承認プロセスに政治が影響を与えていることについて、ゲイツ氏は「悲劇だ」と懸念を表明。「政治家がワクチンの開発を助け、または政治家のために速められるという考えは危険なことだ」と語った。

続けて、8月、FDAが血漿療法に緊急許可を与えた際に行った発表で、データの説明が不正確だった件に触れ「人々に楽観的なことを言うよう圧力を与えると、完全に脱線してしまうことを目の当たりにした。FDAはここで多くの信頼を失った」と語った。

FDAを信頼しているかと聞かれると「歴史的には、疾病予防管理センタ(CDC)が世界で最高と見なされているのと同様に、FDAは一流の規制当局と同様の名声を維持していた。しかし、長官レベルでの発言で亀裂が入っている」と述べつつ、「職員はそちらの方向になびかないことを願っている」と期待を述べた。

CDCについて、ホワイトハウスにいる疫学者でもない人々が、新型コロナウイルスの対応を賞賛しており、「状況から閉め出されている」と語った。また、パンデミック初期の検査の推進に関して、民間を活用しなかった点など、過ちを犯したと指摘した。

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CDCへの政治介入、下院で調査へ

11日、政治ニュースサイトのポリティコは、内部のメールや関係者の話として、CDCが発行する新型コロナウイルスに関する出版物について、保健社会福祉省の報道官、マイケル・カプート氏のチームが、見直しや変更を求めていたと報じた。

カプート氏は、2016年の大統領選でトランプ陣営の幹部を一時的に努めた。今年4月に現在の職に任命された。

ポリティコによると、CDCの職員らは当初、方針の変更に抵抗したものの、徐々に同意するようになり、言葉の変更などについて妥協するケースもあった。さらに新型コロナウイルスに関する罹患率・死亡率週報について、トランプ大統領の発言と一致させようとする著しい取り組みがあったと報じている。

さらに、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンの処方に関する報告書に関して、カプート氏らが執筆者の政治的意図に疑問を呈し、発行を遅らせたと伝えた。

トランプ大統領はヒドロキシクロロキンが新型コロナウイルスの感染予防に効果があると繰り返し主張。5月には自ら毎日服用していると述べ、服用を推奨していた。一方、FDAは6月、同役について、副作用を伴う恐れがあるとして緊急使用許可を撤回している。

さらに14日、下院監視政府改革委員会のコロナウイルスに関する小委員会が、保健福祉省とCDCに送付した書簡で、「トランプ政権による正確な科学的報告書の発行を妨害する試み」に関して、資料と会話記録の提出を求めたと発表した。ジェームズ・クライバーン(James Clyburn)議長は声明で、トランプ氏が3月のボブ・ウッドワード氏とのインタビューで、新型コロナウイルスの危険性について「大したことがないように思わせたかった」と述べるなど、意図的に軽視する態度をとっていた問題に触れつつ、「トランプ大統領に政治任用された保険福祉省の人々が、CDCの重大な報告を変更、遅延、さらに妨害することで彼がコロナウイルス危機の危険性を過小化するのを助けたという報道に、深刻な懸念を抱いている」と語った。