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バイデン政権 メンソールたばこ禁止を提案へ

バイデン政権は、メンソールたばこの禁止を提案する計画を、今週にも明らかにするとみられている。ワシントンポスト紙が伝えた。

たばこ反対派のグループや公民権団体は、かねてより業界による黒人コミュニティを標的にしたマーケティングが、アフリカ系アメリカ人に不均衡に影響を及ぼしていると主張。禁止を求めてきた。

情報筋は同紙に、バイデン政権は、メンソールたばこに加えて、若者の間で人気の小型の葉巻など、大量生産されているフレーバーのついた葉巻の禁止も求める計画だと話している。

メンソールたばこまたはフレーバー葉巻の禁止は、議会の承認を必要としないという。ただし、食品医薬品局は規制に先立ち、一般からの意見を公募しなければならない。

アフリカ系アメリカ人の保健団体や研究者らは、メンソールは通常のたばこよりも常習性が高く、禁煙が難しく、黒人が不均衡に影響を受けているのは明白だと指摘している。1950年代の黒人喫煙者のメンソールたばこを使用する割合は10%だったが、現在は85%以上に増加。白人喫煙者の割合を3倍上回るという。またアフリカ系アメリア人の癌や心臓病などのたばこに関連する病気による死亡率は、他の人種よりも高いという。

公民権団体や黒人の保健機関は、メンソールたばこがアフリカ系アメリカ人の間で人気が高いなのは、メーカーが数十年前に始めた有色人種を標的としたキャンペーンによるものと批判している。

複数の公民権団体と黒人の保健機関は、ビエル・ベセラ(Xavier Becerra)保健福祉省長官に宛てた書簡で、たばこ業界は、アフリカ系アメリカ人の居住区における集会で、メンソールを無料配布したり、ジャズフェスティバルなどのカルチャーイベントをスポンサーするなどしたりして喫煙を促進していると説明。さらに何年間にも渡り、多くの黒人議員の政治活動に多額の献金を行なっていると指摘している。

オバマ政権時代、政府機関や外部アドバイザーは、メンソールたばこの禁止が公衆衛生を改善すると明らかにしたが、政権による対応は進まなかった。

トランプ政権下で、当時食品医薬品局の長官だったスコット・ゴットリーブ氏は、メンソール禁止を提案すると明言したが、その後、政権を去った。ホワイトハウスは禁止を支援せず、取り組みは、業界と議員らの大きな反対に会い、失敗に終わった。

昨年6月、アフリカ系アメリカ人たばこ管理指導者会議とその他のグループは、2013年に提出された、メンソールたばこの禁止を含む市民請願に答えていないとして、FDAを提訴した。ここ数年、議会黒人幹部会のジョイス・ビーティ議長(オハイオ 民主党)やカレン・バス元議長(カリフォルニア 民主党)がメンソール禁止を支持するなど、規制に向けた機運が高まっている。昨年2月、下院ではフレーバーたばこの禁止を含む法案が可決している。

メンソールたばこ禁止は、多くの黒人指導者が支持しているものの、コミュニティの一部からは反対する意見も上がっている。著明な人権活動家のアル・シャープトン氏は、特にアフリカ系アメリカ人に好まれる製品を違法とするのは差別だと主張している。

また反対派は、規制によってブラックマーケットが生まれ、これを購入する黒人喫煙者と警察官の間に否定的な作用が生じると主張している。理由の一部には、エリック・ガーナー氏殺害事件も挙げられている。2014年、ニューヨークの路上で違法にたばこを販売していたガーナー氏は、警察官に拘束される際、チョークホールドをかけられ窒息死した。

これに対し禁止推進派は、規制は製造者と卸、小売りに適用されるもので、消費者ではないと反論。規制が、メンソールたばこの使用を犯罪化し、警察との問題に導くとの主張は、目くらましに過ぎないとしている。

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