米女優「セックス・ストライキ」呼びかけ。テキサス州で中絶禁止法施行で

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米テキサス州で1日、胎児の心音が確認された妊娠6週目以降の人工妊娠中絶を禁止する法律(通称「ハートビート」法)が施行された。
同法は、全米で最も厳格な中絶禁止法の一つで、近親相姦やレイプによる妊娠の中絶も認めていない。6週目までは妊娠に気づかない場合も多く、ほぼ全ての中絶が禁じられる。さらに、中絶を助けた関係者に対し、誰もが最大1万ドル(約110万円)までの損害賠償を求める民事訴訟を提起することが可能とする案が盛り込まれている。

新法は、胎児が子宮外で生きることができるまでの中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド」(1973年)の判決を覆す可能性があるとして、多くの反発が寄せられている。

ACLUなどの人権団体が法律の差し止めを求めていたが、連邦最高裁は同日、5対4で請求を退けた。

これに対し、舞台『ハロー・ドーリー!』や映画『ローズ』で知られる女優で歌手のベット・ミドラー(75)は、ツイッターで「議会で選択の権利が保障されるまで、全ての女性は男性とのセックスを拒否すべき」とセックス・ストライキを呼びかけた。

これ以前にもミドラー氏は、反ワクチン主義者やアンチマスカーらが「自分の体のことは、自分が決める」と主張しているにも関わらず、妊娠した女性がその選択を許されないのは「公平性に欠ける」と主張。女性の権利を奪ったとして共和党を非難した。

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ミドラー氏の呼びかけに、多くの賛同が寄せられた。フランク・シナトラの娘、ナンシー・シナトラ氏は「私の父はもう何十年も前にそれを提案した」と支持を表明。女優のジェーン・リンチ氏は、古代ギリシアのアリストパネスの喜劇になぞらえ、ペロポネソス戦争を終結するためにセックス・ストライキを行う「現代版”女の平和”」だと称賛した。

一方、中絶禁止法の支持派は「禁欲することで、プロライフ派を脅かすことができると思っているのには笑える」「中絶賛成派の女性は不快なだけ。あなたが思うほど脅威ではない」「欧米のリベラル女性は、胎児を殺すという選択肢についてとても熱心だ」など皮肉の声が上がった。

なおAP通信とNORCが6月に実施した世論調査では、10人中6人が、妊娠後3カ月内は人工中絶を認めるべきだと回答している。一方、4カ月以降は65%が「大抵の」もしくは「全て」の場合において、違法にすべきだと回答した。
年齢別では、若い世代ほど人工中絶の合法化を支持。45歳未満の63%は人工中絶に関して「たいていの場合」合法であるべきと回答したのに対し、45歳以上は51%だった。