スティーブ・バノン 民主党の弾劾裁判の主張「感情に訴え、説得力がある」

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来週から始まるトランプ大統領に対する2度目の弾劾裁判について、スティーブ・バノン元大統領首席戦略官はポリティコに、トランプ氏の政治的将来を奪いかねないと懸念を示した。

バノン氏は、民主党側の主張は「強く感情に訴え、説得力がある」と指摘し、「彼らは米国民の目の前でトランプ氏を有罪にし、永遠に傷つけようとしているのだ」と語った。

トランプ氏の側近らは、名声に大きなダメージが与えられることを防ぐため、弁護団に対して、審理では議事堂襲撃事件に関する議論を避けるよう求めているという。

議事堂襲撃を扇動したとして弾劾訴追されたトランプ氏は、すでに共和党の支持が低下傾向にあり、世論調査では2024年の再出馬に対する期待も急落している。

弁護団も、審理が、襲撃とこれに関するトランプ氏の役割に再び注目を集めるような議論になることを懸念している。これを防ぐため、2日に提出した準備書面では、過去の大統領に対する弾劾裁判の違憲性を主張の中心に据えた。弁護団はまた、問題とされるトランプ氏のスピーチは憲法修正第1条によって保護されると主張する計画を示している。

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弁護団の戦略を知る人物は「1月6日に焦点を当てる必要はない。違憲だからだ」と語り、「議論するべき技術的な主張がたくさんある」と話したという。

また、弁護団を率いるデービッド・ショーン氏とブルース・キャスター氏は、審理を「短く、優しい」ものにしたいと考えているといい、6日の「票を盗ませるな(Stop the Steal)集会」のスピーチが扇動とみなされるのかについて論じたり、または、6日の事件に焦点を当てて弾劾マネージャーの主張の正当性を議論するのを避け、代わりに弁護を合憲性の問題に狭めることを計画しているという。

退任した大統領の弾劾裁判については、すでに45人の共和党議員が違憲との見解を表明しており、トランプ氏が有罪となる可能性はほぼないとみられている。

このため、側近の中では、審理で投票不正の主張を持ち出すべきだとの声も上がっている。

バノン氏は「彼は有罪とはならない。ならば我々は11月3日について言及せねばならない」と主張。「これについて裁定を下す最高の場所は上院だ」と述べ、「(弾劾裁判は)ドラマチックで大きいものでなければならない。”大きな嘘”対”大きな盗み”でなければならない」と語った。

一方、前回の弾劾裁判でトランプ弁護団に加わったハーバード大学ロースクールのアラン・ダーショウィッツ氏は、選挙不正を持ち出すのは「深刻な間違い」と指摘。また6日のスピーチについても、議論するべきではないとした。ダーショウィッツ氏は「選挙や彼のスピーチについて答弁するならば、彼は上院で敗北する」と述べ、弁護士には、修正第1条と過去の大統領に対する弾劾裁判の限界などの憲法議論をさせるべきだと語った。

ダーショウィッツ氏はまた、1969年のブランデンバーグ対オハイオ事件(差し迫った違法行為を扇動または生じさせることを目的としていて、これらの行為を扇動または生じさせる可能性が高い場合を除いて、演説は罰せられないとした最高裁判決)を指し、トランプ氏のスピーチは修正第1条によって守られるだろうとの考えを示した。